放送時間が変わるという重大すぎるポイントまでに出来る限りのスタートダッシュを決めたいってのは理解するし支持もするけど、それにしたって展開早すぎだろ!!。パンドラボックスに触れスカイウォールを発現させた“問題の宇宙飛行士”がマスターで、そのときパンドラボックスから剥がれその後盗まれ現在は行方不明のパネルがファウストとマスターの手元にあるって、それどちらもクール単位で引っぱれるネタだろうに4話で同時に明かしちゃうとかペース配分大丈夫かよ!?。
あまりのハイペースにこれで1年もつのだろうかとちょっと心配になってしまうけど、でも今のところさほどの不安はない。だって展開の仕方、情報の出し方、そういった話運びが上手いもん。今回で言うと妻子の記憶を失い自分が誰かすらわからなくなってしまった鍋島が、それでもファウストが人体実験を行っている場に戦兎の研究室にあるのと同じパネルがあったことを思い出す(覚えてる)。これだけなら戦兎が壁をぶち壊すという手荒な手段に出ることはなかっただろうけど、その前にマスターが問題の宇宙飛行士であることを知ってしまったわけで、そのことで戦兎の中にあったであろうマスターや美空の能力に対する疑念が一気に高まってしまったであろうわけで、そうやってちゃんと段階を踏んだうえでのことだから戦兎の行動に突飛だったり強引だったりといった印象を抱くことはないし、鍋島が全ての記憶を失くしてしまったことで万丈(劇中では「龍我」と呼ぶことはなく「万丈」呼びで通すのかな?)の無実を証明する手段がなくなってしまったもののパネルについての情報をくれたという成果がちゃんとあって、そしてそれがファウストとマスターとの間に「何か」があるという次回への引きへと繋がるわけで、ドラマ性をもちつつ情報を登場人物と視聴者に明かす流れが淀みない。
娘のあやとりも、西都の自室で万丈にやって見せたときはこれが鍋島の“記憶”を刺激するとか記憶を失くしていても「上手だね」と褒めてやるとか、そういう希望的描写の前フリなんだろうなと予想したものの、娘だという少女のあやとりを直視することができず娘は傷つくという日曜朝の子供番組にしちゃ重すぎる状況だもんでどうするのかと思ったら(2度のスマッシュ化は確実に後遺症が残るってな忠告だったから記憶どころか理性すら破壊されほとんど廃人状態になるんじゃないかと思ってたのでそういう意味ではそうでもなかったけど)、まずは「俺のことはいいから娘を褒めてやれよ(思い出してやれよ)」と万丈の無骨な優しさを見せ、さらに戦兎が科学者らしいやり方でもって「これからまたたのしい思い出=記憶を作っていけばいい」ことを子供に理解させ笑顔にし、さらにそれが鍋島にも伝わったことを親子三人が手を重ねるという画でもって描くというこの心地よい流れよ!。
おまけにそれを見る戦兎の笑顔がどこか悲しげなんだよね。少なくとも「くしゃっと」はしてない。それはこの三人のこれからが必ずしも幸せなものになるとは限らないと察しているからだろう。記憶を失くし職もない、自分が誰かもわからない男がこの先どう生きていくのか、どう生きていけばいいのか、その大変さを同じ境遇である戦兎はよくわかってるからのこの表情ということなんじゃないかな。そういうことを想像できる画面作りはほんといいと思う。
次回はこれまた早くも戦兎の過去について何がしかの情報が明かされるようで、だからハイペースすぎじゃないですか?大丈夫ですか??とは思うんだけど、なんでもかんでも謎として後々のために引っ張るだけ引っ張る(そして有耶無耶で終わったりなかったことにされたりする)ことが多いこれまでの平成2期とは明らかに違う話運びは今のところ文句なしだし好みだし、特撮としてよりもドラマとしての安心感があるんだよね。
でも不満ってんじゃないんだけど、ちょっと雑かな・・・と思う描写はある。
まずはマスターの素性がまだ不明の段階で、敵が戦兎に注入した毒がどんなものだかわからないし“あとちょっと遅かったら手遅れだったかもしれない”ほどの状態だというのに研究所に連れてきたこと。4話を見終わってみればマスターはただの一般人ではないことが明らかになったわけで、それを言うならタブレットを孫の手に変形させた時点で視聴者にはヒントが与えられていたわけだけど、でもそれを戦兎はまだ知らないわけだよね?。解毒の知識・手段がわかってるからこそ研究所に運び込んだとして、マスターはそれについて戦兎にどう説明するつもりだったのかと。それに、物理学者だから化学についてはそこまでの興味はないのだとしても、正体不明の毒に対しマスターがなにをどうして自分の身体を回復させたのか、戦兎もなぜそれを聞かない?と思うんだけど。
それから、平和主義を掲げる東都に対し経済復興を目指す西都は街中に監視カメラが仕掛けられ、夫から西都行きを命じられた鍋島妻が「なんで私たちだけこんなところに」と言ったことからしても東都より住みにくい“不自由”な環境なんだろうなということは察せられたけど(加えて通貨も東都とは異なるらしく、北都もそうであるなら劇中世界の日本は完全に別の「国家」であると捉えていいのか)、でも宅急便は検閲とかされることなくあんな感じで届ける&受け取ることはできるし、なにより東都と『電話』は出来るのかと。まぁ国が違ったって国際電話はできるわけだし通信制限する理由はないのかもだけど、でも東都と西都の間は事実上「行き来」ができない状態にあるんでしょう?。電話は繋がるけど渡航は禁止(制限)されてるという設定を“現実的”と受け止めればいいのでしょうが、特撮だと考えるとちょっと中途半端というかご都合設定というか・・・そんな感じがあるかなー。
ていうか行きは夜中に東都を出発して西都に到着したのが明け方だった(から明るかった)のだと理解したんだけど、帰りはまだ日があるうちに西都を出たよね?。密航船のオーナー夫人が時間を気にしてたってことは約束の時間ギリギリだったんじゃないかと思うのだけど、『密航』というぐらいだから夜中でなければ政府の目を掻い潜れないのかと思いきや日中堂々往行できるんかいと(笑)。そんで出発時(日中)→戦ってる戦兎のところへ万丈が駆けつける(日中)ってな流れだったけど、これ同日の話なのかそれとも翌日の話なのかどっちよ。西都を昼間に出航して日のあるうちに東都に戻って研究所に鍋島妻子を連れてって、そしたら戦兎がスマッシュと戦ってるってんでドリルクラッシャー持って駆け付けたってな流れなんだとしたら、わりとお手軽に密航できちゃうんですね・・・(笑)ってなことになるよねぇ?。「どーよ、俺の 大・胸・筋!!」は筋肉バカとして最高カッコよかったけどw(そんな脳筋相手にアバンで「てぇ〜んさい物理学者」×2と「天才」であることを強調する戦兎もなかなかどうしてそういう意味ではどっこいレベルな気がするw)。
で、女記者のことをポンコツと言ったことを謝ります。情報を得るのは得意じゃないのかもしれないけど(鍋島母娘の居場所も車もお金も全部用意してもらっちゃった!って喜んでたけど、オーナー夫人がそこまでしてくれなかったらどうなってたのだろうかw)、クソ度胸とドライビングテクニックは凄すぎるじゃないか!(それを言うなら飛べと言われて見事に船に落下できた鍋島妻の度胸もな!)。鍋島たちを「私が責任をもって安全な場所に連れていく」と請け負ってたけど、たかが一記者が用意できる「安全な場所」などあっという間にファウストにつきとめられ三人揃ってスマッシュ化されちゃったりして・・・とか思わなくはないけど、でもとりあえず“使える女”だということがわかったのでこれからもがんばっていただきたいです。