- 作者: 中村文則
- 出版社/メーカー: 中央公論新社
- 発売日: 2017/08/18
- メディア: 単行本
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その濃度や距離感は様々なものの物語のそこかしこに現実を投影し想起させられる設定やら描写やらがあって心がザワザワしたりゾワゾワしたりするんだけど、この世界に生きる人々(登場人物)はなんというか、非常にドラマ的なんですよね。関係性であったりこれまでの人生であったり今現在の出会いであり直面している出来事であったりは思いっきり小説っぽい、つまり非現実的な作り話なんです。現実のうえに虚構が乗ってる・・・・・・という表現でいいのかなぁ?ちょっと上手く言えないところはありますが、その感覚がすごくリアル。それこそ隣国から発射されたミサイルが自分の生きる国の上空を通過しているのに、いつもと変わらず満員電車に乗って仕事に向かい、ミサイルのせいで電車が遅延することにイラついたりする・・・例えばそこにあるなんだかわからない感覚がこの小説のなかにある。だからこそ登場人物たちの非現実さに救われる。これが小説であることに救われるのだ。それが現実逃避だとしても。