『小さな巨人』第5話

このドラマって骨格はそんなに悪いわけじゃないのに肉付けの仕方がダメなんだな。大まかな筋、起承転結にあたる話の「点」だけみれば面白くなりそうなのにそれを結ぶ「線」が脚本・演出共によろしくないんだなと、芝署編を終えたところで思った次第。
所轄のみならず本庁の一課も一緒になって全員が「警察官として」5000のなかに隠されているであろう証拠品を探すと、ここはいい。さらにタイムリミットもあるから緊迫感も出るよね。で、そこで魅せるべきなのはどうやってその証拠品を見つけるかってことだろうに、普通に証拠品を総当たりしてる中タイムリミットをやや過ぎたところで「ありましたー!」って、これのどこをドラマとして楽しめばいいのかと。
ていうか、先代一課長は犯罪の片棒担ぐ悪人で、当代一課長もこういう人間で、こんな奴らが座ってる捜査一課長の椅子とかロクなもんじゃねーだろうよとしか思えないわけでさ、香坂と山田が目指すところが『そんなもの』に思えてしまう時点でこのドラマの作りとしてはダメだと思う。
でもその椅子が『そういうもの』だとわかったうえでそこを目指すというならば話は別、というかそういうドラマであれば(岡田将生はともかく)長谷川博己は恐らくハマる。
実際初回はそんな雰囲気あったと思うのよ。所轄に追いやられるまでの香坂はむしろそういう野心であり野望マンマンの男に見えた。
長谷川博己が演じる香坂という主人公の警察官としての「意地」であり「プライド」、そして人間としての「執念」。それを『熱血』という単純な型に当て嵌めてしまうから長谷川博己の魅力が削がれているようにわたしには思える。
だってこれ博己くんじゃなくてもいいだもん。長谷川博己でなければ演じられない役を持ってこいなどと言う気はないけど、半沢演出などではなくもっと長谷川博己に合った演出で見たかったなと、そうであったならきっともっと面白い作品になっただろうにと、それが芝署編終了時点でのわたしの評価です。