よくもわるくも期待と予想を裏切らない、初回から安定した作りのドラマという印象ですが、そんななか主人公である長谷川博己が攻めの演技ではなく受け(引き)の演技をしてることはちょっと驚き。チャオという例を持ち出すまでもなく長谷川博己がそっち方面に振り切れば香川照之に負けない顔芸の持ち主であることは周知の事実なわけで、プラス半沢のスタッフが作るときたら最初から顔芸VS顔芸にしちゃってもいいだろうに(それを期待されてるところはあるだろうに)、敵役の香川照之を筆頭にみんなバッキバキに力入りまくりのなかで博己くんはかなり抑え目で、それが香坂という警察官であり人間の清廉さに繋がってるかなというのが初回の印象です。
で、事前の番宣等を見た限りでは香坂は上司に“嵌められ”所轄に飛ばされるんだと思っていたのですが、嵌められたというより出る杭を打たれたってなことなのかなぁ?。
元一課長との会食の場に突然現れた現一課長に日本酒をすすめられて飲んだとして、そこに所轄の人間がマークしてた男が女連れで現れたこともそれを香坂が目撃したのも“偶々”だし、そこで男に職質しようと思ったのも香坂の判断で、そのはずみで(相手の手が当たって)車に傷がついてしまったことも事実で、それは現一課長の“策略”などではなく全て香坂自身の行動だよねぇ?。それを上手いこと利用されて所轄行きにされたってなことだけど、現一課長にとって香坂がどんな存在なのかがわからないからエリートが所轄行きという展開にイマイチ乗れないんだよなぁ。
「元」一課長と「現」一課長は畑違いだけあって仲よくないんだろうし、元一課長と2人っきりで会食するほど“近しい”香坂のことも良く思ってはいなかったであろうことは想像できるけど(そしてそのことに香坂は無自覚)、だからと言ってこんな方法で追いだすか?と思うんだけど。元一課長も“そのうち任期満了で一課長の座を退くからそしたらお前がそこに座るんだ”的なことを言ってたし、現状において誰も、香坂当人ですら捜査一課長の座を奪うだとかそんなことは考えてないわけですよね?。つまり自分のポジション(権力)を脅かす存在ではないわけで、であれば捜査一課長としての成果・実績を積み上げるためにも有能な部下を従えておくほうがいいだろうに、なんで陥れるようなことしたのかなーと。
その理由が本筋に関係しているのならばいいんだけど、でも香坂も香坂で、一課長が庇ってくれなかったことはショックだしなんならお前が飲ませたんだろうが!ぐらい思ってるにしても酒呑んだのも職質したのも車傷つけたのも全て“事実”だからと大人しく所轄行きを受け入れたんだろうに、たった一度の捜査で自分を含め所轄を馬鹿にされただけのことで捜査一課長に向かって「覚悟があります」とか言っちゃう展開に説得力なさすぎる。香坂VS小野田=所轄VS本庁という図式になるとして、香坂が所轄の立場に自分を置くのが早すぎやしませんかと。冒頭で所轄の刑事であるヤスケンとキングに所轄はすっこんでろっつってたのに、いざ自分がそいつらと同じ所轄に配属されたら所轄に任せてくれと直談判とか単純すぎると思えてしまうわけで、初回を見る限りでは脚本にはさほど期待できないのかなぁ・・・という気がするような。
でもこれからだよね。今回は挨拶のつもりが流れで捜査に加わっちゃって、そのまま勢いで押しきった感じだから香坂自身冷静ではなかっただろうわけで、言ってることコロコロ変わるのも半沢のように分かりやすい「熱血主人公」なのではなく出世チラつかされたら手の平返ししちゃうところもある決して強い人間ではないってことなんだろうし(モノローグで「水にも油にもなる」ってなことを言ってたもんね)、これから葛藤やらなにやら出てくると思うんで、そこからが警察離れした(としか言いようがない)スーツ姿すぎる長谷川博己(二世議員のくせに蘭堂はあんなにもモサかったのに!)の腕の見せどころなんですよね!。
とか言いつつものすっごい面倒くさい香坂という上司に振り回される所轄の刑事達という構図もそれはそれで面白いと思うんで(むしろ博己くんの“良さ”を出すにはそっち路線のほうがいいと思う)、そういう目線でも観られるドラマであればとても嬉しいです。