『黒執事〜NOAH’S ARK CIRCUS〜』@TOKYO DOME CITY HALL

黒執事という作品の中でも独特であり、それゆえに作品の世界観を象徴する「サーカス編」をよくぞここまで舞台化したなーという感想に尽きる。これまで何度も怒り絶望させられてきたセット(舞台美術)も原作画の完全再現(に近い)衣装も、これまでを思えば(←ここ重要)見事と言っていいであろう出来だし、キャストもビジュアル・設定共にこれだけ複雑で特異だというのにキャラクター性、その言動に対する解釈含め引っ掛かりを覚えるようなこともなくみんな見事な再現度で(まぁ原作を知らなかったらピーター&ウェンディやジャンボ、ドールにどんな障害があるのかわからなかったかもしれませんが)、気持ちよくサーカス編の世界観を堪能することができました。
特にジョーカーは素晴らしかった。葬儀屋みたいにアニメを踏襲するのではなく(葬儀屋まで突き詰めてくれたらアッパレだけど)三浦くんなりのジョーカー像であり、「舞台」としての生々しさ、生の感情が伝わってくるジョーカーで、それでいてちゃんと原作を感じられた。ケルヴィン男爵役の小手伸也さんと先生役の姜暢雄さんと共にサーカス編の「狂気」と「哀しみ」をしっかりと作り上げてくれた。
でも唯一ダメ出しすると全体的に曲がよくなかったんだよなぁ。一発で耳に残る曲調・フレーズがなくて、かといってスルメ曲になりそうな感じもなくて、ミュージカルとしてこれはよろしくないんじゃないかなーと。ドルイット子爵曲ほどぶっ飛んだ曲が欲しいというわけではないけど(あれは初めて観た瞬間から頭に残るってか頭から離れなかったけどw)、この世界観を象徴しまとめあげる『1曲』があれば完璧と言っていい作品になると思うんだけど。
それはそうとして。
サーカス編に無理やり出番作ってぶち込まなかったことは評価するけど、やっぱりグレルがいないと物足りない・・・。今作にグレルが存在する余地ないし、出したら出したでわたしはものすっごい文句言ったでしょうが、でもタッくんグレルがいない寂しさは否定できないの・・・・・・。