『砂の塔〜知りすぎた隣人』第7話

初回の時点で和樹とそらの年齢差に引っ掛かったというか、ママ友カーストの話だから下の子絡みの人間関係を描くに際し長男・和樹が高校生という設定に違和感を覚え、そこからもしかして連れ子再婚だったりする?と思った記憶はあるんで、(それが伏線だったと言われたらさすがに反論するけど)この「健一は和樹を連れての再婚で、産みの母親は弓子」という設定・展開は急遽決まった(急遽方向転換した)というわけではないのかもしれませんが、それにしたって迷走通り越して暴走してるとしか思えんぞこれ。タワマンの人間関係もハーメルン事件ももはや関係ないじゃん。ハーメルンのほうはこれから関係してくるのかもしれないし、ママ友カーストもそれがあったからこそ亜紀は弓子と親しくなったわけで、親しくなったからこそ衝撃と怒りがより一層強くなってるってなことはわかるんだけど、全体の構成あきらかにおかしいだろ。この先何もかもが全部繋がって「そうだったのかー!」とカタルシスに襲われることになるかもだけど、どれだけのカタルシスがあろうともここまでの展開はいくらなんでも下手すぎると思わざるを得ない。
健一と亜紀の結婚が子連れ再婚でしたってのはまぁいいよ。それ承知の上で、ついでに言えば母親の反対を押し切って結婚したのは亜紀自身なんだから、そこはいいと思うんだけど、母親とのやりとりからして“前妻は死んだ”ってのが嘘だと亜紀も知ってるのかと思いきや、生方がうっかり奪われた(こいつ亜紀さんに取られてもいいと思ってただろ・・・無意識に「亜紀さんに見せたい」と思ってただろ・・・)健一と弓子の結婚写真見て「なにこれ・・・前の奥さんは死んだって言ってたじゃない・・・」ってなことを言ったってことは、やっぱり知らなかった(嘘つかれてた)ってことなのか?。
(ていうか母親との確執どこいったってか、亜紀が頑なに母を拒みその頃を知ってる人との関わりを避けてきたことが子連れ男との再婚に影響を及ぼしてるならこの回でそれ語れよと思うし、金のやりとりするぐらいしか交渉ないのかと思いきや和樹の事情も知ってる(相談されてた)とかどうなってんだよ?とも思うけど)
で、健一の言い分としては“弓子が突然別れてくれと一方的に告げて和樹を置いて出て行った”というもので、それを言う相手が生方なんでそのまんま信じるのはまだ早いかもだけど、それが本当ならなぜ亜紀に対し“前妻は死んだ”と説明したかってことだよな。そこに特別な理由・事情があるわけではなく、健一自身なにがなんだかわからなかったから最終的に“弓子は死んだと思おう”ってなことにして、だから亜紀にもそう言ったってなことかもだけど、そうじゃないなら、再婚相手に対し“前妻は死んだ”と意図的に『嘘をついた』ということになるだろうし、だとしたらそこにはやっぱり理由であり事情があろうわけで、嘘をついてまで亜紀と再婚したのはなんでだ?ってな話になるよなー。もちろん生方に話したことも嘘だということになるわけだし。
その理由が弓子の「一人殺してる」発言にあるのなら、何度も映る血塗れバスタブにあるのなら、嘘ついてまで再婚してんじゃねーよ!!って話じゃん。
てか亜紀と健一は同じ会社で社内行事で知り合った(距離が縮まった)ってな話だったけど、弓子と別れてから今の会社に入り亜紀と出会ったってことなのだろうか。もし弓子と結婚してる時も亜紀と再婚する時も同じ会社に勤めてるんだとしたら離婚か死別かぐらい分かる(周りの話なんかで知ってしまう)よねえ?。そんなことどうだっていいっちゃいいんだけどさ、新情報が出るたびにそれまでの描写との齟齬が出てくるというか、おかしな点が生まれてしまうもんだから、ちゃんと考えてんのかよ!?ってんでどうでもいいことだと思いつつも引っ掛かってしまう。
で、弓子がほんとうに誰かを殺していたのだとしても、実際には殺人という罪を犯したわけではないものの弓子にとっては殺した“ようなもの”だという意味なんだとしても、そういう自覚があるのだとしたら例え育ての母親が子供のイジメに気付かないボンクラだとしても「私のほうが母親として相応しい」とは言えないと思うんだよね。でも弓子はそう主張してるわけでしょ。だから救急車に乗せられる和樹の付き添いとして「私が母親だ」と名乗ったわけだよね。
とすると、弓子は実は殺人なんてものには全く関わってない・・・ということになるのかなぁ。まぁ光石さんにマークされてるわけだし、過去において殺人事件の容疑者になったことは間違いないんだろうから何らかの関わりはあるんだろうけど(あれ?でも光石さんって弓子がクラブのママやってることが発覚した回で「また他人の家庭を壊そうとしてるのか」的なことを聞いた記憶があるんだけど、それどうなってんだ?)。
・・・と思いかけたけど、でもこの女、真の目的がどこにあるにせよ息子の家族の上階に住み盗聴・監視するような人間なんだよねw。
さらに言えば息子が失神するほどの暴力を受けているというのに証拠を押さえるべくその間動画を撮影できるような女だし、そういう・・・常識?みたいなものを弓子に当て嵌めるのは無理ってか無駄なんだろうなぁ。
母親だったら子供がボコられてたらとにかく庇い助けようとするだろうってのは“普通の母親”に対して通用することであって(亜紀ならそうするだろう)(そして一緒にボコられて何も解決しないと)、弓子にしてみりゃ「それで和樹へのイジメが解決する?」ってなもんなのだろう。そもそも普通の母親は「既に一人殺してるからお前ら殺すぐらい余裕」とか言わないってか言えないからねw。
つーか予告で弓子が「一緒に地獄へ落ちましょう」とかなんとか言ってんのは一体誰に向かっての台詞なんだ!?と思ってたのに和樹を虐めてた少年相手とか肩すかしにも程がある!!(笑)。
そのいじめっ子たちと和樹の関係も、前回だったか和樹がまるでボスのような顔と振る舞いを見せてたりだとか、ミスリード目的にしても上手くないんだよね。だから何もかもがチグハグに感じるんだと思う。
時系列とか考えるのも面倒だけど、
和樹の表彰式に親子三人で参加予定→和樹が来ないので自宅に戻ったら部屋が荒らされてた→亜紀は和樹を探して駆けずり回る→和樹が救急車に乗せられるところで弓子と揉める→雨に打たれてフラフラしてるところを生方に抱きしめられる
ざっくり言うとこんな感じだよね?。小さい妹はこの間どこでなにしてんだっての。前半あれだけそらそら言ってたのに、育児大変ってやってたのに、和樹の取り合いになったらそらの存在そっちのけになってんのとか“ドラマだから”ってことを差し引いても描写として杜撰すぎて、『母親』を描く気あんのかよ?と思っちゃう。息子に金銭が絡むイジメを受けてることを告白されて「話してくれてありがとう。そうだ!お兄ちゃんにスーツ買ったの!奮発しちゃった!」ってなんでそうなる。マジでこの母親なんなんだと。そもそも高校生がそういう場に出るときは制服で充分ってか制服が相応しいとわたしは思うし、スーツ買うのに本人連れていかない(ノー試着)で買うのもどうかと思うし、お兄ちゃんのご機嫌取りの方向性としてこのカーチャン完全にズレてねえ?と思ってたらコレだもん。まぁ見終ってみれば“母親が買ってくれたスーツ”を奪われ汚されそうになったからこそ取り返すべく和樹は反抗しようとして更にボコられることになったわけで、その理由としてスーツを購入するってな展開があったと分かるんだけど、そもそもなんでスーツなんだってな話なわけで、そういうおかしな描写のせいでそこにある感情が意図してるであろうほどにはこちらに届かないんだよね。スーツ姿のお兄ちゃんはなかなかよろしかったですけども!。