『ミュージカル ボックス in Winter』@赤坂ACTシアター

ミュージカルをあまり好んで観ないわたしですが、スリルミーの楽曲目当てでソワレに入りました。

素晴らしかった。全曲ものの見事に素晴らしかった。 繰り返しますがミュージカルど素人中のド素人なんで素晴らしかったとしか言えないことがもどかしいのだけれど、とにかく素晴らしかったんですよ!。

歌声もタイプも異なる三人の個性を上手く活かした楽曲セレクトであり、素人のわたしでも知ってる曲ばかりの鬼構成の巧さはもちろんのこと(スウィーニートッドやエリザベートは来年上演が控えてるんでと宣伝も兼ねるあたりさすがホリプロは商売上手)、三人とも歌うめーのなんのってな!。知ってはいたけどこうやって歌だけを思う存分聴けると三人の声の良さ、声量の豊かさ、感情の込め方、なにもかもがこれでもかー!!ってぐらいはっきりと“わかる”。1曲目の「Seasons Of Love」(RENT)から魂ぐいんっと持ってかれました。
三人とも基本スーツで曲に合わせてジャケットを脱いだりしてたんだけど、ベストやネクタイ含め頻繁に変える衣装はどれもビシっと決まってて、耳だけでなく目でも楽しませてくれて、特に禅さんの格好よさといったら!!。万里生とカッキーという今絶好調の売れっ子若手二人に負けてないどころか色気と包容力が凄まじく、ほんっとに素敵だった。

1幕ラストは「夢やぶれて」〜「スターズ」〜「民衆の歌」という怒涛のレ・ミゼラブルメドレーだったんだけど、スターズを歌い終え、客席に背を向け民衆の歌のために若い二人を待ち構えてる時に禅さんはジャケットの襟をビシっと引っ張って気合い入れたの。これカッコよすぎてぶっ倒れそうだった。
って、もっと早くからぶっ倒れそうだったんですがw。

いやだってね、1曲目を3人で歌い2曲目からはソロなんだけど、禅さんの「君住む街角」(マイ・フェア・レディ)、万里生の「なんてラブリー」(エニシング・ゴーズ)ときて、カッキーはというとですね、ヘドウィグ・アンド・アングリーインチの「Wig in a BOX」なのよ!!!!!。
わたしこの作品クッソ好きで!歌う予定の作品名にヘドがあった記憶はあるものの想像がつかないから脳がスルーしたんだかw当日までヘドを歌うとか全く頭になかったもんで、イントロが流れ順番的に歌うのカッキー!?って思ったところでシャツのボタンを開けた白スーツのカッキーが出てきた瞬間椅子から飛び上がりそうだった。だって白スーツでヘドを演じるカッキーよ!?。階段に寝そべったりくねくねしながらヘドを歌う白スーツのカッキーよ!?。曲の後半ではキーボードを鳴らしシンバルを叩きながら「年末だぞー!」と絶叫しw、最後は6段ぐらいの階段からジャンプで飛び降りるとかもう無理・・・開始15分ぐらいだけどもう無理・・・・・・。

とか思ってたらここで三人揃って最初のMCになるんだけど、ぜぇぜぇ言いすぎて言葉にならない柿澤勇人さん(笑)。
「なんでこれ・・・ゼェゼェ・・・1曲目に・・・・・・ゼェゼェ・・・しちゃったんだろう・・・・・・」
と息絶え絶えのカッキーに「いや1曲目じゃないと(これをやるの)無理でしょ!」とお二人w。
ていうかゼェゼェもだけどシャツの裾がズボンから出ちゃってるのがいかにこの1曲に入魂したかわかるってなもんですw。
そして昼回と夜回の間でまったくご飯が食べられなかったと意外に繊細さを見せるカッキーに対し「お肉食べました」とにこやかに仰る田代万里生さん(笑)。

さらに続いてはディズニーメドレーってなことで、カッキーはアラジンの「自慢の息子」を歌うのです。なんだこの神選曲!!!!!。
「夢やぶれて」は万里生と2人で歌ったんだけど、万里生は立って、カッキーは階段に座って歌うってのもまた良すぎる演出だし、あっという間の1幕だったけどもうこの時点で脳がパンク寸前でした・・・。目と耳だけでなくわたしの持ってる全感覚でもって記憶しないと受け止めきれなくって、実際幕間でちょっと気持ち悪くなったしw。

でも2幕はそんなもんじゃなかった。2幕のカッキーは完全に客を殺しにきてた。

2幕のオープニングは万里生の「スキンブルシャンクス」(キャッツ)で、続いて禅さんが「君の歌をもう一度」(ラブ・ネバー・ダイ)。

ここでMCとなり万里生とカッキーが黒シャツ黒ベストに黒のパンツと全身黒で登場するんだけど、
万里生「アンドリュー・ロイド・ウェーバーの曲を2曲お送りしました」
カッキー「ああ、アンドリュー?」
万里生「友達ですか?w」
カッキー「いや、面識ないです」
というアホ会話wから、二人が同じ役を演じたサンセット通りの楽曲がロイド・ウェーバー作品の中では異端で難しかったという話から、先日ロイド・ウェーバーさん来日したんですよってな流れになったのね。で、
万里生「空港から日比谷までヘリコプターで来たらしいですよ」
カッキー「へー、ヘリコプター。・・・・・・ヘリコプター!???」
と、一旦は普通に聞き流したものの「ヘリコプター!???」ってびっくりするのを「もう一回言いたい」というカッキーに「なんで同じこと2回(もやるんだよw)」と苦笑いしながらもつきあってくれる万里生パイセン(カッキーがそう呼んでたw)優しいw。

あとあと、万里生が歌った曲は四季の養成所時代の課題曲だったそうで、カッキーは大げさでなく練習含めたら1万回ぐらいこの曲を歌ったそうで、歌詞にある“夜行列車”ってのは今でこそチケット売れまくりでアラジンなんて数年先まで売れてるほどの四季だけど、かつては全然売れなくて「浅利先生や幹部のひとたちやスタッフの人たちがお金がないから夜行列車にのって北海道から鹿児島ぐらい?わかんないけど、日本中を回ってチケットを手売りしてた時代を忘れるなと、そういう気持ちを忘れるなという意味を込めての課題曲なんだ」ってな話をしたのね。それ聞いて「それ歌う前に教えてよー。もう歌っちゃったよぉー」ってスネる万里生パイセン超かわいかったw。

で、次はロイド・ウェーバーとは全くタイプの異なるステファン・ドルジノフの曲ですってなことで、スリルミーの説明に。

昼と夜で回変わり曲があるということは事前に発表されていたのですが、それがここで、昼は「やさしい炎」、夜は「スリルミー」。
栗山さんの拘りで稽古中もペア固定でシャッフルとか一切なかったから、初演から4年ぐらいずっと同じ舞台に立ってるのに一緒に歌うのは初めてだという二人。
初演からカッキーの相手を務めた洸平くんの話になったんだけど、なにやら洸平くんは今ものすごいマッチョになってしまったそうで、「今やったら多分(彼と私が)逆転する」とカッキー。先日来年やる作品のビジュアル撮影で会ったそうで、あまりにもすごい身体になってるもんだから「ちょっと触らせてもらったんだけど、すげーの!あの・・・この・・・(胸がこんもりしてるジェスチャー)おっぱいが!」って、結局「おっぱい」って言っちゃうカッキーw。洸平くんは「(筋トレを)やめらんないんだよなー」と言ってたらしい。
そして松也のことはサラッと「魔人ブウ」とw。

そんなダラっとした会話(笑)をしてたのに、いざ「スリルミー」のイントロが流れると即座に『私』と『彼』になる万里生とカッキー。
万里生の『私』は全体的に重厚で、まぁ松也も物理的に重いんだけどw万里生と比べると頭ゆるそうなんでw、カッキー彼とのバランスはやっぱり松也のほうがいいかな。
わたし上手のサブセンD列だったんだけど、「早いとこ済まそう。明日は早いんだ」の台詞を言った後、わたしの眼の前でカッキー彼が客席に見下し視線を向けたんですよ。
わたし・・・確実に一瞬気を失いました。
カッキー彼が大好きで、この台詞を言うカッキー彼が大っっっっっっっっっっ好きで、なのでこの瞬間のことは言葉にできない。
これを楽しみにチケットを取ったし、いざスリルミーを聴けて、1曲とはいえまたカッキーの彼を観ることができて嬉しいし幸せなんだけど、そういうの超越した存在すぎてほんと言葉にならない。

でさー、歌い終わったら万里生が下手、カッキーが上手に捌けるんですよ。私と彼を纏った状態で。で、次の曲である「世界の王」(ロミオとジュリエット)のイントロが流れるじゃないですか。当然歌うのはカッキーじゃないですか。
イントロが流れてもすぐには出てこなくって、あれ?カッキーじゃないのかな?って思った瞬間ものすごい勢いでジャンプしながらステージに登場し、モニターに足をかけて歌いだすとかあああああああああ!!!!!。
さっきまで!彼だったのに!一瞬でロミオ!!!!!!!!!!!。
(禅さんと万里生による「父と息子〜闇が広がる」を挟み)
さらに夜神月で「デスノート」!!!!!!!!!!!!!!!!。
ねえ・・・どうすんの・・・どうすんのこの才能の塊・・・・・・。

でもカッキーの見せ場はこれだけじゃなかった。
最後の最後にもんのすごい爆弾を用意してやがった。
それは柿澤勇人による「僕こそ音楽」(モーツァルト!)。
まさに夢の瞬間でした。

ていうかこれ、なんとスタンドマイクで歌ったんですよ。
スタンドマイクを持ってステージに登場し、マイクに右手をひっかけ左手はポケットに入れた状態で歌いだす柿澤勇人
特別ロック寄りのアレンジとかじゃなかったんだけど、マイクスタンドを斜めに倒しながら歌ったりするカッキーの僕こそ音楽はとても情熱的で、もうこれ言っちゃってもいいよね??

カッキーのヴォルフが見たいです!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!

そう思わせる僕こそ音楽だった。
来年の上演作品の宣伝をうまいこと織り込んでると前述しましたが、そういう意味ではカッキーに僕こそ音楽を歌わせたってところに意味を求めていいですか!?いいよね答えは聞かない!!!。


カッキーのことばかりの駆け足感想ですが、本来「闇が広がる」だけだったところを禅さんと思い出の曲を歌いたいという万里生たっての希望で「父と息子」からのアレンジにしてもらったというだけあって、禅さんフランツ・万里生ルドルフからの禅さんトート・万里生ルドルフもまさにスペシャルなひと時で素晴らしかったし(今年エリザを見に来てくれた禅さんは帝劇スタッフに「もう(劇場が)閉まりますよ」と言われるまでずーっとフランツについてあれこれ話をしてくれて嬉しかったという万里生がすごくイイ顔してた)、映像はむりでもCD化してくれないかなー。もしくは再演!。ていうか再演!!(昼回ではカッキーによる「三人組」に対抗する発言があったそうですが夜回では「武道館」のみで、もしかして昼終わって怒られた?w)。この素晴らしい空間をもっともっと多くの人に味わってもらいたいー!。