だいすきなアッキー(中川晃教さん)とみっちゃん(東山光明さん)がキャスティングされてはいるものの、ジュークボックスミュージカルって曲を知らないとあまり楽しめないイメージだけどキャロル・キングの名前しか知らないぐらいだし、他公演との兼ね合いもあるしってんで前回の初演を観ることはなかったのですが、ほぼほぼキャスティングは変わらない&キャロル・キングに興味はないまんまであっても今回わたしが「観たい!」と思った理由はとある役者さんの存在にあります。
その人は長谷川開さんという方で、主に「ドリフターズ」の一員として出演されているのですが、三浦春馬さんのボイストレーナーを務められていた方なんです。3月にホイッスルダウンザウィンドでその歌を聞けることを、春馬との共演を楽しみにしていたのですが、わたしがチケットを所持していた公演は中止となり観ることは叶いませんでした。そしてもう二度と叶わない。一生後悔し続けるであろうそれについては横に置いておくとして、長谷川開さんの歌を生で聴きたい!というのがわたしが今回の再演を観た理由です。
結論から言うとすごかった。めったくそ上手かったしカッコよかった。
この作品はキャロルとジェリーの作詞作曲コンビとバリーとシンシアの作詞作曲コンビが切磋琢磨し合いながら作った楽曲を「ザ・ドリフターズ」や「シュレルズ」といった『スター』が歌うという構成で、アンサンブルキャストがそのスター役を担うのですが、長谷川さんはドリフターズが最初に歌う曲のリードボーカルを務めてまして、つまり一番最初にその美声を浴びることになるわけですが、その歌声に面影が重なったりすることはないんだけど、それでもやっぱり、やっぱりね、動機が動機なんで思い出しちゃったりするわけですよ。心の中で物語を作って浸っちゃったりするわけですよ。気持ちの悪いオタクですよね我ながら。
・・・なんてのは8小節ぐらい歌ったところで吹っ飛びました。
う、うまっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっ!!!
PR動画を観てから臨んだので上手いことはわかってはいたんだけど、実際に生で聴くと声圧と音圧と声の艶やかさがとんでもねえ!!!!!
♪サムカインドオブワ~ンダフォ~ってとびきり美しい声で歌い上げるラストの時点で春馬のことは頭から消えてた。
長谷川さん以外の出演者も、平原綾香さんを筆頭に(わたしが観たのはあーや回でした)どいつもこいつも歌うめえ!なんだこいつらバケモンかよ!?(←実際こんなテンションだったんであえての口調です)
ていうか「歌が上手い」のレベルがこれまでわたしが観たミュージカル作品のなかで間違いなく一番高い!!
そんなこんなで1幕終了する時点でもう笑うしかなかったです。耳が幸せすぎて自然に笑顔になっちゃうとかそんなんじゃなくって、すごすぎてわらうことしかできないの。
ストーリーとしては、公式の「STORY」にあるまんま、前半はキャロル&ジェリーとバリー&シンシアが曲を作る→スターが歌うってだけの話で、やがてジェリーの気持ちがキャロルから離れ二人は離婚することになり、一方バリーとシンシアはすったもんだの末に結婚という選択をし、独りになったキャロルは作った歌を自分で歌うことにする。だってこれは「私の歌」だから。そしてニューヨークからロスに拠点を移しアルバムをレコーディングし、カーネギーホールでコンサートを開きましたと、ただそれだけの話なので、正直ストーリーとしては退屈ではありました。繰り返すけどキャロル・キングに興味ないしね。
でもそのぶん・・・という表現が合っているかはわかりませんが、歌唱シーンが色鮮やかなんですよね。知ってる曲より知らない曲のほうが多いけど、知ってるか知らないかなんてことはどうでもいい。この作品の主役は「歌」。「歌」を作り「歌」を歌う物語。なのだと思う。
ストーリーとしては退屈だと書きましたが、ジェリーと別れたキャロルがロスに出発するという日に苦楽を共にしたライバルであり友人であるバリーとシンシア、そしてプロデューサーとして関わり続けたドニーに感謝の歌を作ってきたと言って4人で歌うんだけど、この歌唱シーン、この曲からレコーディングの最後の1曲として歌うA Natural Woman、そして本編ラストのカーネギーホールでのBeautifulと、カーテンコールのI Feel The Earth Moveまでわたし泣きっぱなしでした。もう一度書くけどストーリーはなんてことないんだけど、「歌」に乗せられた想いに、キャロルを演じる平原綾香の「歌」に、心が突き動かされて涙出っぱなし。それも最前列でw。
(ていうか、ナチュラル・ウーマンをレコーディングするシーンで長谷川さんはピアニスト役なのですが、咥えたばこでピアノに座る長谷川さんがめったくそカッコよくって「ほえー」と魂抜けたような顔になってしまった。尋常じゃない歌唱力に加えこのルックスって、もしかしてこのひと無敵じゃない?・・・と言いたいところなんですが、もしかしてダンスはそんなに得意ではないのでしょうか?)
今自分の状態が脳みそも心も多少なりとも麻痺してる自覚があって、ここでもう一度名前を出すけどそれは春馬がいなくなってしまったことも理由のひとつで、いつか帝国劇場に立つ春馬を観ることができるだろうと思っていたし、だからその日まで頑張って生きようとも思っていたので、ビューティフルを観てから数日経ってこの感想を書いている今はまた心がカサカサになりつつあるんだけど、でもこのミュージカルを観ていた間は心から愉しかったし満たされました。そしてそれは春馬のおかげ。春馬がわたしに長谷川開さんという素晴らしいシンガーの存在を教えてくれた。このエロ可愛いアッキーをわたしに見せてくれた。それがとてもうれしい。