『麒麟がくる』第33回「比叡山に棲む魔物」

織田信長による比叡山の焼き討ちを「帝と覚恕との兄弟喧嘩」として描くとはびっくり。
ていうか、正親町天皇と焼き討ち当時の天台座主が兄弟だとか知らなかったんで、「へー!」と声が出てしまった。
Wikiによると異母兄弟だそうですが、この覚恕とこの帝は確かに兄弟味あるし、玉様の帝は覚恕が何度も「美しい兄」と言うだけあるなと超納得。

比叡山の腐れっぷりをド正面から描いたこともびっくりしたけど、いくらなんでも台詞回しが馬鹿馬鹿しすぎない?(どんどん酷くなってない?)な摂津と通じてる覚恕(の会話を軒下で聞いてる菊丸とか画作りがベタすぎw)が摂津諸共「醜悪」そのものとして描かれているのに対し帝の気品たるや!頬のあたりつやっつやじゃないですか!。
将軍からも織田信長からも信頼されているという評判や、朝倉(の家臣である山崎)から具体的な人となりを聞いていたのだとしても、初対面の明智十兵衛光秀にいきなり兄貴への憎しみをこうもあからさまに語るぐらいなんで覚恕もこの兄上と比べられ続けてよっぽど鬱憤溜まってたんだろうな・・・と気持ちわからんでもなかったし(それぐらい、小朝覚恕の独り語は“聞かせる”力があった)、ここは両者とも実に見事なキャスティング!博己くんの御父上さまさま!。

そして帝が「織田を助けてやろう」と思った理由が「儲けまくって贅沢三昧の弟がびた一文出そうとしなかった御所を直してくれたから」ってのは信秀と信長の父子関係と太夫の帝への想いがココに繋がるのか!というとてもわかりやすい、そして説得力のあるものでしたが、なんでそこに町医者風情がいるのかと・・・ってところはやはり引っかかってしまうのだけど、それを伝聞などではなく「帝自身が語る」というシーンにするために「格別な存在」として東庵を作ったのだと、すべてはこのシーンのためでしたってことで納得します(病弱だった幼い帝のために前帝が針の名医だという東庵を連れてきてくれたと言ってましたが、その当時東庵は何歳で今現在何歳なんだよ?とか考えちゃダメだ)。

でも丸薬転売少年はなぁ・・・・・・。あの子がこのときたまたま比叡山にいて信長による襲撃に巻き込まれ命を落としましたってのが十兵衛が流す血涙の象徴というか、そんな存在としてのものならいいんだけど、これ絶対駒絡みでしょ・・・・・・。

それについては次回うんざりさせられる心構えをしておくとして、吉田鋼太郎の舞台テンションに煽られてか、信長様の戦はむしろこれからだ!と摂津にあの勢いあの顔で啖呵切った十兵衛は最高にブチ切れてたのに、この期に及んで「女子供は逃がせ」はないかなー。
義景が宗教相手は勝ち目がないっていってたじゃん。あとからあとから虫みたいに湧いてくるって。ただでさえそんな相手なのに女子供を逃がしたらどんな恨みつらみが残り語り継がれるかって話じゃん。だからむしろ女子供はどうしますか?と聞かれ「全員斬れ」と言わなきゃダメだろというか、言ってほしいというか、「古きもの悪しきものは全て消さねばならない」と摂津に言い切った十兵衛にはその覚悟があるんだと思ってたんだけどなー。

ていうかあれよね、そもそもの話筒井順慶があの場に居た理由って、十兵衛が鉄砲と引き換えに(愛人経由で)将軍に引き合わせたからよねw。引き合わせたことを棚に上げて筒井と松永を一緒にしたら大変なことになるってわかんねーのか!とキレるというなかなかにひどい十兵衛さんですが(しかもそれ久秀にはナイショだろ?w)、そういう時こそカッコいいのが十兵衛なのよねw。
演技の凄み含めていよいよ、ようやっと、長谷川博己の本気を拝める瞬間が増えてきてワクワクするわー!。