『麒麟がくる』第35回「義昭、まよいの中で」

治療のために東庵を訪ねてきた藤吉郎母(この一瞬の登場シーンだけでもこの作品の藤吉郎とこの母にしてあの子あり感がすごい!)のおしゃべりで「十兵衛様が置かれている状況」を知り、そのことについて説教かましたら思ったよりもメンタルズタボロでいっそ殺してくれと泣きじゃくる公方様にもらい泣きする駒に、十兵衛様を斬る計画があると公方様から聞いたから十兵衛様を助けてくれと太夫に頼む駒に、藤孝に十兵衛暗殺計画があることを教える太夫に、帝のことをよく知ってるひとを十兵衛に紹介してくれる太夫って、この期に及んでオリキャラ無双は萎えるわ・・・・・・。

そしてこんなことがあってもまだ「信長の家臣」とならないのか十兵衛よ。

このところ明らかに義昭と十兵衛の間に距離が出来てるっぽかったからこの状態から正式に幕府を離れて織田に行くとなるとたとえ史実がそうだったからとはいえこのドラマとして「義昭に仕える十兵衛」のターンが必要だったか?ということになってしまいそうなので、「もし信長が道を外れた時は坂本を捨て二条城に入り公方様をお守りします」と十兵衛に言わせ、それに対して義昭は摂津排除の決意をし、「信長とは性が合わぬ。初めて会ったときからそう思うてきた」「十兵衛と三淵が頼りだ」とすることでもう一度、改めて十兵衛と義昭の繋がりを強調したところでいよいよ次回「訣別」となる構成はなるほどねーとは思うし、そのために史実にはない『摂津晴門による明智十兵衛暗殺未遂事件』を用意したのだということも理解はするけど、十兵衛の暗殺が未遂に終わった、つまり十兵衛が助かった理由が“駒と太夫のおかげ”となるとわたしのどこかが今回の話を受け入れることを猛烈に拒否する。

しかしそれもまた「幕府を守る(支える)ため」だと言うのでしょうが、義昭に対しこれだけ熱弁かましておきながら「公方様にも」「信長様にも」秘密裡に帝に会いにいくんだよな、十兵衛は。
登場当初は人格者に思えた義昭が今現在「こういう将軍」になってしまった理由として、摂津という“悪人”が側近であったことがその筆頭ではあるのでしょうが、義昭と信長の間を取り持つはずの十兵衛の立ち回りがド下手くそだったから・・・ってことも大きいのではないか、と思えてきたわ。