鳥飼 否宇『死と砂時計』

世界各国から集められた死刑囚を収容する終末監獄が舞台。親殺しの罪で収監された日系人のアランは監獄の牢名主と呼ばれるシュルツ老人の助手として、監獄内で起きる事件を調べることに。
事件そのもの(謎やトリック)はそんなに奇をてらったようなものではなく、至って正統派な謎解きミステリなのですが、『探偵、犯人、被害者―――全員、監獄の中』(帯より)ってこの設定ですよね。この世界観が非常に魅力的。そしてその設定がちゃんと『謎』に結び付いている。その環境だからこその謎であり謎解きであるのです。
さらにワトソン役である主人公は一見まともそうに見えるのに『両親を惨殺した罪』でこの監獄に入れられているわけで、その倒錯した感じに酔いつつ読み進めてたらラスト・・・!???。
章題を見れば最後がアランの話であることは明白で、その一つまえの話から(これがまたトンデモエグイ(笑))じわじわとその種まきがなされ、いよいよアランの真実に迫るのねっ!と期待MAXになったところでなにこの超展開。師匠いい人だと思ってたのにいいいいいいいいいい!。
こうなってみると「死と砂時計」というタイトルがとてつもなく恐ろしいものに思えるわ・・・。