深緑 野分『分かれ道ノストラダムス』

分かれ道ノストラダムス

分かれ道ノストラダムス

幼馴染の少年の三回忌の帰り際、主人公の少女は少年の祖母から少年の日記と思しきノートを託される。ノートには不思議な記述があり、少女はひょんなことから知り合ったクラスメイトの男子とともに少年の死の謎を解くべく動きだす。
ってな感じの物語なんですよ。はじめは。ちょとしたことが理由で仲違いしてしまったまんま二度と会えなくなってしまった相手に対し、その死について自分を納得させるために始めた“謎解き”によって、少女は傷つきそして成長する・・・ってな物語としか思えないんですよ。途中までは。
それがあれよあれよという間に新興宗教の勢力争いに巻き込まれ死人が出てとハードになっていき・・・って、これ今年の初めに読んだ「戦場のコックたち」と同じパターン。
戦場の〜は普通の若者とはいえ異国で軍隊に入ってる若者たちの話であったのに対しこちらは完全に日本の普通の高校生(時代は今よりもちょっと前)なので設定も雰囲気も展開も全く違うのに、でも同じ方向に話しが転がるってことはこれが深緑さんの持ち味というか、パッケージはすごく綺麗で可愛いのに中身のチョコはおもいっきり苦かった的な、深緑さんという人が描く物語はそういう感じなのかな。
そして2作ともハードな過程を経て至る先には救いであり未来があるんですよね。だから後味はとてもさわやか。まだ2作しか読んだことはありませんが、深緑さんの作品は物語の畳みかたがとても丁寧で優しいと思う。