石持 浅海『二歩前を歩く』

二歩前を歩く

二歩前を歩く

街ですれ違う人がなぜか自分を避ける・・・ってのはともかく、部屋に帰ったらなぜかスリッパがちょっとずつ移動してるとか、消したはずの浴室の電気がなぜかついてるとか、自家用車のガソリンが知らん間に満タンになってるとか、『日常の謎』というにはちょっと不可思議すぎる現象を、当事者から相談を受けた科学者(研究者)・小泉が解明する作品集です。
実際にそんなことが起きたとして、私だったら気持ち悪いって大騒ぎすると思うのだけど、そこは小泉のキャラの「おかげ」というか「せいで」というか、当事者もそれぞれ友人であったり職場の同僚であったりと関係性は異なれど小泉に親しみを感じているタイプの人間なので至って理性的・理知的にその現象の調査・解明に努めてて、だからまぁ大したことないように感じさせたところで酷いオチどーん!ってな話ばかりで、後味悪いのなんのって。何が酷いって、そんなこと仕出かしておいて普通に生活してることですよ。ていうか周囲にそんな人がこんなにもいる小泉が怖いわ!。
でも一番怖いのはこんな作品集のラストとしてこういう話を書き下ろす石持浅海という作家なのである。