石持 浅海『三階に止まる』

三階に止まる

三階に止まる

石持さん初の短編集だそうで、えー!?そうだっけ??と驚いたわけですが、まさしく満を持してという感じの石持エキスみっちみちの『黒い話』ばかりで読み応えがありました。
黒い話と言ってもいろんなタイプ(ジャンル)の作品が並んでいるのでいい意味でのバラエティ感というかお得感があり、特にエリート養成校を舞台にした「転校」、閉ざされた空間での夫婦のやりとりを描いた「黒い方程式」、心中するために出向いた先で死体を見つけてしまった「心中少女」、そしてタイトル作である「三階に止まる」はそのシチュエーションとそこで繰りひろげられる冷静なやりとりのシュールさ、そして緻密なロジックがまさに石持さんらしさ全開で面白かった。
一方で「壁の穴」は超萌え作品ですよコレ!!!。死んだ親友にかけられた覗き野郎の汚名をそそぐべく独自に調査・推理するってな話なんだけど、死んだ親友は女子人気が高く反対に探偵役はなぜ二人は親友なのだろうか?と思われるような、つまり真逆のタイプで、もうそこからして鉄板すぎるうえに真相解明後の一言が!!石持さんってこういうの書ける人でしたっけ??。おまけに二階堂さん企画のために書かれた作品には烏賊川市の鵜飼さんや蓮丈那智さんも顔見せしてるし、大満足の1冊。