石持 浅海『相互確証破壊』

相互確証破壊

相互確証破壊

帯に『前戯からはじまる伏線、絶頂でひらめく名推理』とあるように6篇の“性愛ミステリー”が収録されているわけですが、これ、エロいかー?。全ての作品で8割近くをセックス描写が占めているほどではあるものの胸揉まれて身体舐めあって声漏らして挿入されてイってと“やってること”がどれも同じってかパターン化されすぎてて、股間が“じゅんっ”もどうかと思うけど口でコンドーム被せる女なんてそうそういねーよ(笑)と途中から笑ってしまったぐらいなんだけど。
って、↑これで気づかれましたかね?。6篇全て「女性目線」での描写なんですよね。「男に抱かれる女」の目線であり感情が描かれているのですが、そこに仕掛けがあるんじゃないか?何らかの意図があるんじゃないか?と思いつつ読み進めたものの特にそういうものはなかった・・・。とすると要するにセックス描写の引き出しが一つしかない・・・ということか。
でもまぁそこいらへんパターン化してしまうのは仕方のないところかなーと。中には男性でありながらもとんでもないとこに手が届く人もいらっしゃるので(ここではあえてお名前を挙げませんが)一概に「男性だから」というつもりはありませんが、石持さんに関しては“そういうイメージ”はないし、これを読んだ感じではまぁ・・・そのイメージはそうそう間違ってないかなと。
とはいえ“オチ”のキレ味は相変わらずさすがの一言。最初の「待っている間に」からエグイのなんのって。女目線だからそのエグさというかドライさが余計に効く。全体的に女の強さというか割り切りっぷりというか、そういうものが残るんだけど、そんな一冊の〆として最後にこういう1篇を持ってくるのは計算だなぁ。