前川 裕『酷 ハーシュ』

酷: ハーシュ

酷: ハーシュ

タイトルの「ハーシュ」ってのは「切る」という意味でいいのだろうか。
夫婦が性交渉中に斧でぶった斬られるという凄惨な事件を通報者である隣人の調書を通して描いた冒頭がそれから年月が経過した現在の事件とどう関係しているのかと思ったら、これまたえらくベタな・・・。ていうかそんな事件があった直後に通常営業するとかちょっと無理がありすぎる。
精神疾患とか同性愛とかトラウマとかエログロアイテムてんこ盛りですが、全体通してとにかく「ベタ」。犯人ありきで話を作ってるから伏線もあからさまだし、当人にとっちゃ堪らなく辛いことではあるのでしょうがトラウマレベルとしては“その程度”の理由でこれだけの人間殺しておいて人権がどうのと犯人を可哀想な存在として描くのも好みじゃない。この手の話ってやっぱり犯人をどれだけ魅力的に描くことができるかってことなんだろうな。