塩田 武士『崩壊』

崩壊

崩壊

初めて読む作家さんです。
ざっくりと言うならば殺人事件を調べる刑事の視点で犯人=加害者を描いた作品ということになるのでしょうが、背景(家族関係や環境等)含めた加害者に全く同情も共感もできないし、もっと言えば被害者とその家族にもそれが出来ないので、まるで新聞に書かれた記事を読んでるような感じでした。
でもそれ以外の登場人物、捜査中に出会った出版関係者や手土産持って刑事の自宅を訪ねてくる記者なんかは結構魅力的なんですよね。だから被害者・加害者をそういう風に描いたのは意図的なんじゃないかなと思うわけで、ラスト(オチ)が妙にウェッティなのでその意図とはそこでそれまでの印象をひっくり返すことにあったのではないかと感じたんだけど、それは私の好み・・・ではないかなぁ。もっと下世話な感じで描いてくれたほうがよかったかも。