桐野 夏生『ハピネス』

ハピネス

ハピネス

桐野姐さんによる『ママ友』小説ときたらそりゃあもうすこぶる付きのエグさなんだろうなーとワクワクしながら読み始めたものの、視点となる主人公が“根は真っ当な普通の人間”なので妬みや嫉みや葛藤も真っ当で普通なものでしかなく、自分にはないものを持っている憧れであり嫉妬の対象である女たちだってみんな『いろいろある』けどそれぞれ必死にもがき苦しみ見栄張りながら生きているんだと、そういう話なのはいいんだけど、その『いろいろ』の部分もこういっちゃなんだけど全然大したことはなくって、小説(読み物)として面白くはあるけれど桐野さんの作品だと思うと物足りないことこの上ない。
でも桐野さんにもいろいろあって、いろいろ思うところがあって、そういうものが反映されたのがこの作品だと思うととても興味深い。
やっぱりわたしは(作品を通して見える)桐野夏生という女のファン、なんだよなぁ。