真梨 幸子『殺人鬼フジコの衝動』

殺人鬼フジコの衝動

この表現はちょっと人格を疑われそうな気がしなくもないですが･･･すごく面白かった。ずーっと眉間に皺を寄せ、「うわー･･･うわー･･･」って（心の中で）呟き続けながらの読書でしたが、ページをめくる手を止められませんでした。特に小学校時代の人間関係描写がリアルすぎる。残酷で容赦がない分人生において最も厳しい対人関係を強いられるのが小学校時代だと思うのですが、その必死さというかギリギリ感というかある意味サバイバル的な描写がリアルすぎて、別にここまで大変な小学校時代だったとは思わないけど思わず擬似フラッシュバック体験をしそうになりました。怖かった･･･。
女の犯罪小説を書かせたら桐野姐さんしかいないと思っていましたが、こういう言い方はもしかしたら失礼にあたるかもしれませんが、ポスト桐野夏生は真梨さんではないかとこれを読んでかなり確信いたしました。ものすごく悲惨であったり哀れであったりドロドロだったりじめじめしてたりするんだけど、でも一本筋が通ってるというか、どこか女の生き様としてカッコイイとすら思えてしまう爽快感であったり迫力を感じさせてくれるところが似てるかなぁと。そういうところ、大好きです。