- 作者: 桐野夏生
- 出版社/メーカー: 朝日新聞出版
- 発売日: 2018/02/07
- メディア: 単行本
- この商品を含むブログ (5件) を見る
これまた帯に「女子高生たちの肉声を物語に結実させた」とあるので、実体験(取材内容)がベースにあるのだと想像しますが、そのせいなのかいつもの桐野作品とはずいぶんと感じが違うという印象でした。こう言ってはなんですが手垢のつきまくったテーマをあえて桐野夏生が描くわけですから、そこには桐野さんならではの「何か」があるだろうと期待したし、桐野作品としての「新しさ」は確かにあるように感じましたが、でも数多あるこの題材を描いた作品群としては“この手の話”の枠内に収まってしまうかな。
少女たちが立ち向かわねばならない“最悪な現実”はそれぞれで、外側からみれば「可哀想な少女たち」であっても内側は“不幸レベル”の違いからお互いに対する悪感情が噴出したりと結構な殺伐っぷりで、その不幸レベルのディテール含めここいらへんは実体験と桐野さんの筆力によるものであろうリアリティがありました。
そして真由が酷い現実に放り込まれた理由、夜逃げと聞かされていた両親のほんとうの理由が酷いのなんのって。これが『現実』なのかな・・・と思いつつも笑ったわ。