篠田 節子『ブラックボックス』

ブラックボックス

ブラックボックス

子供がいるわけじゃなし、元々食べることにはそんなに興味がないというか食うより呑む(酒があれば生きていける)という人間なので、まぁ人並に産地を気にしたりする程度で(中国産は食べないとか)『食の安全』なるものにそこまでの気遣いをしているわけではないのですが、だからこそこの物語は恐ろしかった。本来「食べる」という行為は生きるためにすることなのに、その逆なのではないか?とすら思えた。
私は自分で食パンを焼いているのですが、真冬以外は専用ケースに入れておいても1週間もたないんだよね。5日ぐらいでカビが生えちゃう。でもスーパーで売ってる食パンはその倍の日数が経過しててもカビなんて生えない。それだけそういうものが含まれてるのだろう。
あくまでもこの物語は“つくり話”で、今現実にこういうことが行われているというわけではないのでしょうが、でもこうやって思い当たるというか、“それっぽいこと”は実際に行われているんだろうなぁと思ってしまうわけで、でもだからといって自衛する手段ってないんですよね。自分で食べるものは自分の手で作るといっても全部なんて無理なわけで、PM2.5とかいうもの目に見えないものが飛んでる中じゃあ自分で作った野菜ですら「安全」とは言えないわけで、じゃあどうしろってな話だよなーと。
・・・だから私は今日もせっせとアルコール消毒に励むのである。アルコール摂取の方がよっぽど身体に悪いなんてことは知りません(笑)。