朝倉 秋成『ノワール・レヴナント』

ノワール・レヴナント (講談社BOX)

ノワール・レヴナント (講談社BOX)

4年前のある日ある声を聞き“特殊能力”を与えられた4人の高校生は、それから4年後にそれぞれの“餌”に釣られて同じ場所に集められる。お互いの事情を確認しあった彼らは、あの時聞いた声に従い独自に調査を開始する。なぜ自分たちなのか。なぜ自分たちにこの力が与えられたのか。そして真相に辿りついた彼らが下した選択とは。
第十三回講談社BOX新人賞Powers受賞作です。結構な文量ではあるものの、よくも悪くもサクサクと読み進められました。こういう表現が適切なのか分かりませんが、とてもシステマティックなんですよね。作品として。劇中でも「ドミノ」という表現がありますが、まさにそういう感じ。完成図=結末がまずあって、そこへ向かうために道を作っていく・・・ってな感じで、その作り方はとても繊細なんだけど、面白味に欠けるというか。
力を与えられた4人の共通点=ミッシングリンクは「ほーう」と思ったし、それが声の主の遺志だってのもアリかなとは思えたんだけど、でもそもそも4人が集まった理由の“餌”、これに関しては事務手続きやらなにらや現実作業が必要になるわけで、ということは少なくともそれを担う人物がいるだろうにそこいらへんはスルーなのも気になったし。
でも流れとしては引っ掛かることもなく、イマドキっぽくはあるけど作品に誠実さが感じられて、そこは結構好みなので、今後の作品も読んでみたい。