水野 宗徳『チョコレートTV』

チョコレートTV

チョコレートTV

中堅番組制作会社に勤務する様々な人々(プロデューサーだったりディレクターだったり事務だったり)がそれぞれの仕事に追われる中で悩みもがき苦しみながら、自分を失いそうになって見つけてまた頑張る連作短編集です。「おっぱいバレー」と「さよならアルマ」を書かれた方だそうなのですが、どちらも映像では見たものの(アルマさんはドラマをかれこれ7.8回見てますが、何度見ても子供達にかごめかごめされるアルマさんに、軍用犬として出征を見送られるアルマさんに、玉鉄目指して緑の台地を疾走するアルマさんに、玉鉄にハァハァするアルマさんに、死んじゃう馬場さんに・・・、リアカーに乗って勝地に運ばれるアルマさんに、そして勝地を日本に戻すために猛犬を装うアルマさんに毎回泣きます。ダダ泣きします)原作は未読なので初めての作家さんになります。
テレビ業界(番組制作)とひとくちに言ってもその職種は多種多様かつ圧倒的なヒエラルキーがあるわけで、そこいらへんを“バラエティ編”や“ドラマ編”として1編1編雰囲気というか目先を変えながらソフトタッチで描きつつ、主人公(たち)の葛藤や抱えてる問題をそれらと上手いこと絡めて昇華・消化させてて、とても気持ちのよい一冊でした。