『ジョーカー 許されざる捜査官』第4話「無差別殺人に隠されたナゾ」

犯人役が窪田くんだからということは大いにあるかとは思いますが、今回は面白かった。何度も何度も「うわああああああああああああ!」と思いました。
伊達さんの事件への関与の仕方も変えてきたし(休暇中なのに普通に職場に出入りしてるのは気にしないとして)、犯人の行く先もちょっと明らかになったし、最後に犯人サイドにも謎がある?っぽいフリもあったし、なによりも伊達さんは「犯人を捕らえてマスターに引き渡すところまでが『仕事』で、その先犯人がどうなるのかまでは関知していない」ってことが明らかになったのは結構驚きました。てっきり孤独な(少人数)仕置き人かと思ってたのに伊達さんも恐らくマスターも歯車かよ!と。久遠には「死ぬよりも辛い思いをさせる」とは言ったものの、本当のところ犯人たちが連れて行かれた先でどんな目に遭ってるのかは知らないってことなのかー。もしかすると、ここまできたらもう『組織』と言ってしまっていいと思うのでその言葉を使いますが、伊達さんが思い描いている犯人への罰と組織が実際に行っている罰、そして目的が実はまったく違うもので、それを知った伊達さんが組織に反旗を翻す展開も有りうるのだろうか!最終回は組織VS伊達さん(たち)とか!とか、椎名が残した言葉をそのまま受け取るならば警察内部に椎名を心神喪失として処理することを望む者もしくは者達がいるってことだと思うので、その者達とジョーカー達は相対する存在なのか、それとも実はテッペンで繋がっているのか!?などなど今後の展開への前フリという意味ではとても見応えのある回でした。
でしたが。でも、でもでも不満なんだよ!。
このドラマが描いているのはそれぞれ被害者(家族)でありながら“警察”という権力に属している者達が“独自の正義の元に犯罪者を裁く”という話であり、おそらく最終的な落としどころとしては正義といいつつやっていることは悪だという事実にどう折り合い(落とし前)をつけるのか、または断罪されるのかってなところだと思うわけで、つまり各回で描かれる事件及び犯人ってのは伊達さんたちの“独自の正義”を発動させるための材料でしかないんですよね。だから当然“事件”そのものに関してはそれなりの描き方しかなされない。被害者感情はともかく犯人はお仕置きされて当然のクソ野郎(もしくはクソ女)として描かれるので、窪田くん演じる椎名は「進学校に通っていた」わけだけどその椎名がなぜ髪を染めカラオケボックスなどという公共の場で堂々と制服姿のまま喫煙行為にふけっていたのかその理由は描かれないし、「いっぱい殺せば心神喪失を認められやすくなる」などというキチガイ的な考えを思いついた理由も描かれないわけですよ。それがすこぶる物足りないっ!。
わたし今回の窪田くんの演技の中でよかったと思うのって、心神喪失を装う→車の中で正気に戻る→コンクリートブロックを手に銃を向ける相手に向かって行き撃たれ、なおも捨てセリフを吐くという壮絶な犯人としての演技はもちろんだけど、それよりも犯人になる前の演技のほうなんだよね。カラオケボックスの通路でこの世の中の何もかもが面白くないという顔つきで煙草を吹かし、それを注意されると警察を呼べるもんなら呼んでみろとまるで自暴自棄なことを言い、かと思ったらバイトの女の子をなんとも言えない優しくも切ない視線で見つめてるわけですよ。あの顔はまさに絶品。意を決してその子に声をかける声音と、キッパリと拒絶され呆然と立ち尽くすその表情こそが窪田くんの真骨頂だと思うんだよね。
これまでの犯人に対しては“真性の悪人”なんだろうなーってところでそれ以上掘り下げて考えようとは思わなかったんだけど、椎名の場合は“悪人”ではないというか・・・キチガイではあるんだろうけど、どう表現したらいいのかなぁ?椎名の動機ってのは言ってしまえば「好きな子にフラれたのは父親のせいだ!付き合えないんだったら娘を殺して苦しめてやる!」ってなことなわけですよね。あまりにも幼稚すぎる動機ゆえに、純粋なる狂気ってか・・・なにがこの子をこんなキチガイにしちゃったのだろうかって考えちゃうんだよねぇ。
実際のとこ椎名の詐病っぷりがどれほどのもんだったかは分りませんが、椎名自身が本来ならば心神喪失は認められなかったところを何らかの思惑でそういうことになっちゃったと理解してるわけじゃん?。想像するに、そのことを椎名が知った瞬間に椎名が抱える狂気が本物になったんじゃないかと思うんだよね。あの「僕は選ばれた人間なんだ」ってヤツね。だってそれはよくある誇大妄想狂の戯言なんかじゃなく実際に「選ばれた」ってことなわけでしょう?。椎名を心神喪失として無罪にし再び社会に出すことがなにを意図してのことなのか分かりませんが、好きな女の子を見つめるあの表情を見てしまうともし心神喪失が認められずそれ相応の刑罰を受けることになったならば、被害者遺族を挑発するようなことは言わなかったかもしれない。もしかしたら自分が犯した罪をちゃんと反省できるようになったかもしれないのになーと思えてならなくて、だから椎名が仕置きのターゲットになったことがこれまで以上に伊達さんたちの、いや「組織の」都合に見えてしまった。
・・・ってそんなことを思ってしまった理由は窪田くんが熱演すぎたから、ってことに尽きるわけですが。

てかさ、伊達さんたちもやっぱり正義の押し付けだよなぁ。よくよく考えてみると今回の話って警察にとっては終わった話なわけですよね?。警察(現場の刑事)がやることは逮捕し取調べをして検察に送るところまでで、送ってしまったらもうそこで出来ることもすべきこともないと、そうわたしは理解しているのですが、司法の場で無罪という判決が出た以上たとえ悔しかろうがなんだろうがそれを受け入れるしかないと思うわけですよ。警察という立場としては。伊達さんはそのことをきちんと弁えているからこそ休暇を取り私的に動いたわけだけど、そこにあすかが強引に絡んだところがイマイチ納得いかなかったんだよなぁ。あすかなりに刑事のカンが働いたとかさ、そういう理由があるならばともかく、わたしにはあすかがこの件に首を突っ込んだ理由は“伊達さんと久遠がなにやらコソコソしてる” “伊達さんが急に休暇を取り冴子さんとなにかを調べてるようだ”ってことだと思ったのね。つまり好奇心と一種のヤキモチが理由だと思ったわけです。その結果、被害者の父親は『犯人が実は心神喪失状態ではなかった』ことを聞かされ、その上『娘が殺された理由は自分が喫煙を注意したせい』『自分の誕生日プレゼントを買いに行った時に娘は殺された』ってことまで知ってしまったわけじゃないですか。そら父親にしてみりゃ知りたかったかもしれないよ?。特に娘が父親へあてたバースデーメッセージ(ところでこれ、誰が撮影したんだろうね・・・。というよりも娘はなんのためにこんな映像を撮ろうと思ったのだろうか・・・)なんてものがあるのなら見たいと願うだろうし。でも前の二つは知らせる必要があったのだろうか・・・と思う。今の法律ではどうにもならないと伊達さんがキッパリ告げていたけれど、遺族はだったらどうしろっていうんですかっ!?と言うしかないだろー。だったらんなこと教えんなよ!と思うわ。それにもっと先のことまで想像するならば、いずれ父親は自分のしたことが原因で娘だけでなく10人もの人達を事件に巻き込んでしまったことに、遺族であるからこそもっと多くの人達に癒えない傷を負わせてしまったことに思い至ると思うのよ。悔やむよね。娘を失ったことに加えてまた別の苦しみを抱えることになるよね、きっと。そう思ったらやっぱりなんでもかんでも伝えるってのはどうかと思うなぁ。てかルポライターである冴子さんが伝えるならばともかく、あすかと伊達さんが「警察」として事件の真相なんてものをペラペラ喋っていいものなのだろうか。椎名は少年法が適応する年齢こそ過ぎているもののまだ未成年だろうし。
でもあすかはどうだか分からないけど、伊達さんは恐らくそこいらへんの矛盾に気付いてるんだろうなぁって気がする。終わった事件を掘り返す(再び動かす)ために遺族に動いてもらう必要があると考え、上手いこと誘導したんじゃないかなと。正義のためには必要な犠牲もあるというか。そういうこと全部ひっくるめての「哀しそうに撃つ」なんじゃないかなーと思った。
で、そう発言した久遠は黒皮手袋の似合わなさっぷりに噴いたわけですがw、縛られてるあすかを助けるために後一歩歩けば柵が途切れてるってのにわざわざヒラリと柵を飛び越えるところに本気を見ました(笑)。どうにもこうにも仕置きに対するスタンスが「ノリ」でしかないっぽいんでマスターにガミガミ怒られるのは当然かとは思いますが、店の掃除やらされる久遠がちょっと可愛いw。
そしてそして可愛いと言えば来栖刑事ですよ!。来栖が伊達さんの胸に相当力込めてパンチ入れたのちょう漲ったし!!!つーか殴られた伊達さんの顔www。あたまおかしい窪田くんに対する掴みはやっぱり手品(口からトランプ)な伊達さんとか「女子高生のワタシだけなぜ3回刺されたのかしらー」な伊達さんとか、あーもう可愛すぎて眩暈くらくら。
だがしかし新人時代の伊達さんさすがに無理あるだろw。あれで何歳のつもりよw。