『流星の絆』

企画を立てた時点でどちらが先にあったのか分かりませんが、やっぱりこの原作と宮藤官九郎は相容れなかったな・・・。ガチオタというわけではないものの刊行されてる全作品を読んでいるぐらいは東野好きなわたしなのですが、この原作は犯人の意外性だけが(わたしの中での)合格ラインだってだけで、正直大した作品ではないと思うわけです。だから当然この原作に例えば白夜行や容疑者Xほどの思い入れはありません。これまで既読本が映像化されたものをいくつも見てきて、“絵”がある漫画ならともかく読み手の数だけ理想がある小説の映像化は難しいというか理想通りに映像化してくれることはほとんどないということも心得てるつもりです。それでもねええええええええええええええええええええええええええええええよ!!!と言わずにはいられませんでした。クドカンドラマとしてというか、クドカンオリジナル場面は面白かったの。あれね「カナダからの手紙」ね。「永遠少女栞」ねw。杉浦太陽のモノローグとかアリだし、ニシキドさんのホスト姿とかハァーーーーーーーーーーン(笑)だったし。ていうか杉浦太陽やるじゃんとwロリ好き役をよくぞ受けたなとw。ていうか永遠少女栞に出てくるニシキドさん役のキャラが好みすぎて(ニシキドさんに似てるwww)トキメキまくりんぐだったんだけどw。ていうかうさぎの名前がふりかけってwwwふりかけが大好きなうさぎってwwwwwつーかあのうさぎって何?ロボット??生ものじゃなかったよね???。ていうか夜のドライアイスと呼ばれた男ってwwwwwww。ていうか池津さんのロリ服姿wwwwwwwwwwwwwww。とまぁ面白かったんですよw。でもね、コメディーパートがあるからこそストーリーの軸である『両親を殺された子供たちの復讐』という重くて苦しい題材が緩和され、そしてより一層引き立つってのは分かる。そういう手法はアリだと思う。でもこのドラマは初回を見た限りではその手法が効果的だったとはいえないと思う。少なくともコメディとシリアスが混ざり合ってなかった。繋がってなかった。両者がまるで違うドラマだったもん。なんかとってつけたような感じすらした。クドカン的には原作という“縛り”がある中でどこまでそれを壊しどこまで自分のオリジナル色を出せるかという挑戦的な気持ちでこの作品を書いてるのかもしれない。その意気込みは買わなくもないんだけど、うーん・・・・・・“原作を”自分流に料理したとは言えないと思う。少なくとも初回はね。原作の合間合間にクドカンオリジナルを挟み込んだって感じなんだもん。あー!うまく言えないんだけど、初回で言うと尾美とあのカレー屋?喫茶店?よくわかんなかったんだけどあの店のシチュエーションと三兄弟の会話、カナダからの手紙、ポストイット上司(チビTwwwww)、ここいらへんは全部クドカンオリジナルでそれ以外が原作に『一応』沿ってる・・・そう書くとちょっとは分かるかなぁ?。多分面白かったって言ってる人ってクドカンオリジナルパートのことを言ってるんだと思うのよ。確かにそこいらへんはザ・クドカン!って感じで面白かったと思うし。でも原作を読んだ者としては「流星の絆」じゃねええええええええええええええ!って言いたくなってしまうのもまた事実。だってあの三兄弟が「警察なんて信用できない」とか「俺たちの手で見つけ出して殺す」とかって違和感感じない?詐欺行為をゲーム感覚でお遊び感覚でやってるように見えなかった?間違いなく犯罪行為なのに。なによりもドラマからは刑事に三人が連絡取り合ってないって言った理由がさっぱり分からなかったもん。なんで隠す必要があるの?って思ったし。原作は犯罪行為を行ってるという罪悪感とそうするしかなかった(両親を殺され施設に入った自分たちはその時点でまともな人生を歩めないというかドロップアウトした存在だという)諦念とそしてそんな運命への反感みたいなものがあったと思う。ちょっとアウトロー的な。この先どういう感じで進むのかわからないけど、詐欺って犯罪なわけで、そこらへんをちゃんと含めてくれるのかってのはちょっと不安だなぁ。だって今回のってサムライ詐欺(だっけ?)の女から金取り返せないならばその女が入れ込んでるホストから奪おうっておかしくね?それは仕返しでもなんでもないじゃん。自分たちとは全く関係がないホストに詐欺しかけただけじゃん。おまけに結果的にめでたしめでたしってどういうことよと。悪いことしてないって言いたいわけ?と思ったわ。予告にあった「遺族が笑っていいじゃん」という泰輔のせりふが印象に残ったんだけど、確かに笑ったっていいと思うし、逆に某魔王の人のように復讐の想いだけで生き、心の底から笑うことはなかった・・・なんてよりは共感というか、理解ができると思う。でもその「笑い」で詐欺という犯罪行為を誤魔化してほしくないなと思った。ほんと上手い言葉が見つからなくてもどかしいんだけど、原作にあるやりきれなさというか刹那感みたいなものは消してほしくないなと。この先話が進むにつれて展開的に両者がというかクドカンが原作に歩み寄らなければならなくなるだろうし、演じる側も原作の世界観とクドカンの世界観の差異に慣れるだろうからまぁもうちょい見てみようとは思うけど。


でさ、クドカンの一番の魅力はキャラ作りの上手さと会話の妙ってかそのテンションだと思うんだけど、原作の三兄妹って正直言ってものすごく薄っぺらいのね。だから三兄妹にどれだけクドカン流の肉付けがなされるかってのはすごく楽しみなところだったんだけど、ちょっと微妙よね・・・・・・。なんか会話が上滑りしてるってかさぁ、セリフ「必死で」喋ってるだけって感じがしたのよね。にのみやさんはコメディできる人だとは思うけど、にのみやさんのコメディセンスって「間」と「真顔でボソっと入れるツッコミ」でこそ生きる気がするんだよなぁ。しかも受けるべき二人がもういっぱいいっぱいでさぁ、特にニシキドさんはまさに必死!!って感じで、コンドームだのセックスだの言わされてる感がたっぷりなのが見ててきつかったわ・・・。戸田ちゃんも天然なのかバカなのかわかんないし、顔に「地味」って紙貼り付けられて「キョンシーか!?キョンシーじゃねーっつの!!」とか無理耐えられない・・・。そもそもにのみやさんはともかくニシキドさんと戸田ちゃんの口調が重いんだよね。どんなに頑張ってセリフ言っても軽妙な会話ってのにはなりそうにないのよ。そういう意味ではラストのシリアスパートはすごく雰囲気あったんだよね。なんども書いてますがまだ初回なんで、こ慣れてくればもうちょいなんとかなりそうってかなって欲しいと思うんだけど。言ってもどうにもならんけど、原作なしでこの三人を最大限生かせるキャラをクドカンに作ってほしかったと思うし、原作通りのどシリアスなこの三人の流星の絆を見たかったなと思ったわw。ほんと今更どうにもならないんだけどね。

で、一番キレたのはキャナメです。ああいうキャナメは大好きなんだけど、キャナメの役あんな不思議キモキャラにしちゃったら原作の切なさやりきれなさどうしようもないもどかしさ、そして辛さ、そういうものが全く表現できないと思うんだけど。この役にキャナメがキャスティングされたときにガッツポーズしたわたしをぶん殴りたい。