大倉 崇裕『聖域』

聖域

聖域

私の中でこの作家さんは落語とか特撮とかに詳しい(失礼ながら)オタクのイメージなもんで、「山岳ミステリを書くのは、私の目標でもあり願いでもあった」 だなんてビックリです。巻末の著者紹介を読んだら山岳系同好会に入ってたとか書いてあるし、なんだか裏切られた気分・・・・・・。だってオタク=インドアじゃない普通。まぁ山岳“系”ってなんだよってつっこめる隙間を残してくれてるところが救いだけど(笑)。
当たり前ですが、笑い一切無しでガチモンの山岳ミステリーでした。全編ガッチガチって感じ。筑波山すら登れない(途中リタイヤ)私なもんで山の魅力も苦しさも全くもって想像することすらできませんが、真っ当というかセオリー通りではあるもののミステリー部分は面白かったです。むしろスポーツマンっぽくてこの真っ当さがよかったと思う。この人って真面目にミステリー書かせると丁寧な仕事するよな。
あと年齢問わず描かれる男の友情が熱かったです。命を賭けられる、命を預けられる友がいるってだけで生きる理由になる気がする。私にはそんな人いないけど。