高田 侑『鉄槌』

鉄槌

鉄槌

幼い頃母親に捨てられた三人の子供を男手ひとつで育て上げた父親が死んだ。急な死に戸惑いながらも三人は、捨てられてから一度も会っていない母親に会うことにした。それは悪夢と悲劇の始まりだった。


読みながら、言葉が通じない恐怖というか知らず知らずのうちに悪意に絡み取られる恐ろしさを感じて、これに似た感覚を過去の読書中に経験したことがあるなーと思ってて、読み終わった瞬間気がついた。貴志祐介さんの「黒い家」を読んだ時の感覚と似てるんだ。「黒い家」の方が断然怖いけど。
長男長女次男それぞれの視点で物語が語られるのですが、縦軸(母親)のほかに大人になり家庭を築いたり社会人になった三人の生活が横軸として描かれていて、そこはちょっと面白い。それぞれ単独で短編が書けそうなぐらい良質なエピソード揃いです。