『Mother』第1話

まずはもしかしたらもうこの先さほど出番はないかもしれないお目当ての綾野剛くんが綾野剛くんすぎて非常に複雑な気持ちでしたと書いておかねば。撮影方法がどうとかフイルムがどうとかそこいらへんは全く分からないのですが、『映画っぽい』という印象を受ける映像の中で健気な少女を“性的虐待”する綾野くんがそれはそれはもう・・・・・・しっくり馴染みすぎててほんと複雑。そういう演技を求められてのキャスティングなのだろうから綾野くんはそれに応えた・・・と言えるのだけど、綾野くんのあの佇まいが期待以上に画面にハマりすぎてて、ほんとなにもそこまでせんでも・・・と思うほどの説得力が生まれてしまっていたことを喜んでいいんだか・・・。スマイルの時も思いっきり暴力ふるいまくってたもののあれは顔がそんなにはっきりとは映ってなかったんだけど(それはそれで残念なんだけど)、今回は少女の唇に口紅を塗ってあげるあたりなんて思わずゴクリ・・・っと見入ってしまったほどバッチリ確認できちゃって、もちろんそれは嬉しいことなんだけどでもやってることが・・・ってね。これ自分でもどういう感覚なのかよく分からないのですが、蹴ったり叩いたりという肉体的な暴力ならばまだ見ていられるんだけど、“性的”暴力は嫌悪しか感じないんですよね。もちろん直接的な暴力だって嫌悪感を覚えますよ?。でも今回で言えばゴミ袋に入れられている少女よりも口紅塗られて吸われそうになってる少女の方が見ていてキツイ。綾野くんが画面の中でまさしく“そういう男”だという存在感と説得力があるから非常にキツかったです。あんなん見たら母親キレるわと。そこで男に対して怒りを覚えるのではなく娘=他の女に怒りをぶつけたことも含めて異様なリアリティだった。
「子供は嫌い」とはっきり言い切る(序盤の)松雪さん演じる奈緒がいくら虐待されていることが明らかだからとは言えそこで「その子を誘拐して逃げる」なんて選択をするかなぁ?と思っていたのですが、奈緒自身が「捨て子」で、「赤ちゃんポストに入りたい」という怜南の言葉に強烈な何かを感じたゆえの行動だったということならば納得です。タイトルからしてこの瞬間奈緒の中に「母性」が目覚めたということなのかなぁ・・・とは思うものの、現時点では母性よりも共感というか、自分は母親に捨てられたけれどこの子は母親のために自分から捨てられることを望んでるってことに共鳴?してしまったんじゃないかと思う。それに虐待の事実を確信したならば普通はまず警察なり児童相談所なりに連れていくことを考えるだろうけど、このドラマでは前半のうちにそういうものは全てあてにならないし、一見親身になってる教師ですら自分の予定(恐らくデート)を優先する様を冷静に見ていたからこそ「誘拐」という手段を選んだ一つの要因なんだろうなってのも分かるし、それにそれを決意したあとその勢いで即誘拐を実行しちゃうのではなく出来る限りの準備をし子供にもやるべきこと(それも自分の死を偽装工作!!)を指示することで本当に母親を捨てる覚悟があるのか考える時間を与えたことで奈緒の人となりもちょっと分かったと思うし、丁寧に作ろうとしてるんだなーってことをすごく感じました。
てか赤ちゃんポストってなんだよなぁ。104センチじゃ入れねーよー(多分)。わたし子供ならば誰もが一度は考える「自分は本当はこの親の子供じゃなくて、どこかにお金持ちで優しい本当の親がいて、いつか迎えに来てくれる」的なさ、そんなようなことを思ってて、どこかにいるはずの本当の親に手紙を送ろうとしてるんだか手紙が来るのを待ってるんだか、そういうことだと思ってたんで、怜南が何を望んでたのか明らかになった瞬間はなんかもう・・・どうしていいかわかんなかったです。怜南もさぁ、最初はまたキヨたんみたいなうっとおしいガキだなぁ・・・なんて思ってたんだけど、あの生意気ってか子供らしからぬ(でも子供っぽい)口調はあの子なりの鎧なんだね。お母さんが作ってくれるスパゲティの種類を一生懸命言おうとするのとかやべーだろほんと。好きなものリストに「石鹸のコマーシャルのおかあさん」が入ってるってなんなんだよなぁ。初回唯一の良心だったのは間違いなく漁港のオッサンだったんだけど、見ず知らずと言っていいたまたま娘の姿を見かけただけの人がああも嘆いてくれているのを見て母親の仁美はどう思ったんだろうなぁ。他の人はたとえ間違っていたとしてもわたしなりに心中を想像することができなくはないんだけど、仁美だけはわからんわ。前述したけど自分の男が娘と関係を持とうとしてる(ってか怜南の態度からしてこれが初めてじゃないだろうし、そういうことしてるってことは気づいてたんだろう)現場を見ちゃったらキレんのは分らんでもないけどさ、そこで“ゴミ袋に入れて”“北海道の冬の寒空に放置し”“自分は男とカラオケつきのホテルに行く”ってほんとどういう気持ちなん???と思う。ゴミ袋は1重だったしあれだったら自分で内側から破くことも可能だろうけどさ、でも多分ゴミ袋に入れられるまでに肉体的暴力もふるわれてると思うんだよね・・・そんな子をあの状態で放置するってのはもう死んでもいいと思ってたとしか思えんわ。タイトルがタイトルだけにこんな母親ですら失ってみて初めて娘を愛していたことに気づく・・・ってなことになるかもだけど、うーん・・・。
で、今後のキーマンになるであろうヤマコーさん演じる雑誌記者の動きはやはり最も気になるところではありますが、地味に気になるのが三女の彼氏役の川村くんでございます。遅かれ早かれ奈緒が怜南改めつぐみを誘拐してることはバレると思うんで、そしたら恐らく若菜ちゃん演じる次女の結婚は破棄されると思うんだよね。なにやら男の母親煩いらしいし。1話では結構和気藹々としてた鈴原家なのに、奈緒がとった行動でどんどんと荒れていくんじゃないかな。そこで三人を支えるのが川村くんの役割で、バレるきっかけがヤマコーさんの記事だとしたらきっと鈴原家に取材に来たヤマコーさんの胸ぐらを掴んで激怒する川村くん!なんて図が見られるかもしれないなーと期待します。それぐらいウハウハ要素がなきゃ見続けるの辛いもの。そうそう、このヤマコーさんとこの田中実が兄弟だってのはなんか分かる気がする(笑)。