あさの あつこ『ランナー』

ランナー

ランナー

長距離走者として将来を期待された碧季は、レースで無様に負け、本当の理由を誰にも言わないまま陸上部を退部した。妹と母親の間に立ち、家族を守るためだと自分に言い聞かせ辞めたつもりの碧季だったが、実はそれは自分への言い訳だった。そのことに気づいた碧季は、マネージャーの先輩と親友の後押しを受け、再びスタートラインを目指すために走り始める。

青春スポーツ小説の金字塔(ですよね?)のバッテリー(読んだことないけど)の著者ということで、純粋なる陸上小説だと思って読んだら大間違いでした。期待したほど陸上(長距離)である必要は特に感じられなかった。野球やサッカーなどの団体種目じゃダメだけど、限界まで身体を動かす孤独な種目であれば換えはきく・・・かな。長距離=ストイックってイメージが一般的だと思うのですが、主人公の少年の追い詰められ具合と長距離走という競技のイメージがシンクロしてはいますけど。主人公の少年だけでなく、妹も母親も苦しんでいて、方向は違えど少年の親友やマネージャーの女の子もまた満たされない思いを抱えている。そういう想いの象徴が(少年が)走ること、なんだろうな。
以前に別の本を読んだ時も思ったことなのですが、走ることと生きることは似てるなと思っていて、「ランナー」というタイトルは誰にでも当てはまるんだよな。誰もがランナーなのですよ。