大倉 崇裕『警官倶楽部』

警官倶楽部 (ノン・ノベル)

警官倶楽部 (ノン・ノベル)

二人の“制服警官”がカルト教団の裏金運搬車を襲撃し、300万を強奪。実は二人は警察官ではなく、鑑識や尾行、盗聴、逮捕術、そして銃撃戦など各分野の達人からなるスーパー素人警察コスプレ大好き集団“警官倶楽部”のメンバーであった。ある理由の為に企てた強盗は成功したが、直後に仲間の息子が誘拐され、身代金を要求される。警官倶楽部、カルト教団闇金組織、そして誘拐犯とが入り乱れ、事態はどんどんと大きくなっていく。


めちゃくちゃ非現実的(笑)でもめちゃくちゃ面白かった。警察オタすごすぎ(笑)。
頭脳ゲーム的な面もある軽妙な犯罪小説でちょっと伊坂幸太郎を思い出しましたが、いわゆるスタイリッシュな感じはゼロ。みんなその道の達人でカッコいいし(見た目でなく心意気が)、ある意味プロ意識の塊と言えるんだけど、でも単なるオタ(むしろ冷静に考えるとそうとうマニアックなキモオタ)でしかないところが素敵です。コスプレするぐらいだったらまあ気持ち分からなくもないけど、鑑識や尾行の技術磨きまくってどうすんだっての(笑)でもその情熱が素敵。就職浪人やフリーター、引きこもりなどのいわゆる負け組人種と、外務省勤務や弁護士などの勝ち組人種が、社会的地位の差を意識することなく共通の趣味の元ではみんな平等みんな仲間として交流できる・・・オタ世界って素晴らしいですね!
続編を書こうと思えば書ける終わり方だし、今回メインで活躍した二人以外のメンバーをメインにした話も読んでみたいので是非とも続きを書いて欲しいです。