劇団ひとり『陰日向に咲く』

陰日向に咲く

陰日向に咲く

その芸風を鑑みるに、物語を紡ぎだす力があることは分かる。分かるんだけど、この連作短編集は想像の遙か上を行くスゴさですよ。まず構成が素晴らしい。全作に登場するほんのスパイス的な存在の人物がいるのですが、その人を通じて仕掛けられる引っ掛けというか、そういうことだったのか!という瞠目する感覚は伊坂バリと言っても過言ではないぐらいなのです。そしてその文体というか、物語のテンポはまんま劇団ひとりなの。拗ねてて媚びててちょっと毒がある。それでいて、無理がなくて優しくて愛おしい感じがするのです。ラスト2編とか泣くよ。これほんといい本です。これから川島さんを見る目変わるわ。