西澤 保彦『腕貫探偵 市民サーヴィス課出張所事件簿』

腕貫探偵 市民サーヴィス課出張所事件簿

腕貫探偵 市民サーヴィス課出張所事件簿

櫃洗市の所々に突如現れる「市民サーヴィス課臨時出張所」。そこにはひと昔前の肺病やみの文学青年みたいにとがった風貌に丸フレームの銀縁眼鏡、むっつりした表情は如何にもお役所的で両腕の肘まで黒い腕貫を嵌めているという、ほとんど劇画的な人物が座っている。相談に訪れる市民の悩みをテンション低く解決しまくる連作短編集。

安楽椅子探偵役の出張所員?のキャラがちょっとばかし目新しいというだけで、いつもの西澤だなぁ。軽妙な語り口に隠されたエゲツなさは相変わらず。いい意味では安心して読める、悪い意味では変わり映えしない。登場人物の名前は、いつもにも増して読めねー!ってのばっかりで、暑くていつも以上に頭働かない状態な私は、早々に名前を読むことを諦めました。特に『スクランブル・カンパニィ』なんて螺良(にしら)、檀田(まゆみた)、目鯉部(まりべ)ですよ。ワケわかんない。
ていうか、「腕貫」ってアームカバーのことなんだけど、タイトル見た時「うでぬき」って読まなくて(読めなくて)、「わんかん・・・?」て思ったアホは私です。だって「腕貫」て普通言わなくないですか?「腕白とかいてわんぱく」の親戚みたいなもんかと思った。
西澤氏だったらいくらでもこのぐらいのプチトリック入り短編を書けそうだと思うんで、出張所員はホントに市役所の人なのか?の謎が明らかになるまで続けてください。