五條 瑛『上陸』

上陸

上陸

それぞれ事情を抱え、日雇い労働者として働く貧乏ダメ男3人組、金満、安二、アキム。日々いがみあいながらも共同生活を送る3人には、過去にやってのけた大きな秘密があった。出稼ぎ天国日本の理想と現実。社会の底辺で暮らす3人の事情と思惑。この生活がずっと続くなんて思っていないが、それでも毎日はそれなりだった。

あれー?イケメンでてきませんよ?ちっとも萌えませんよ?この作者にしてはむさくるしくて汚い。でも新宿が舞台の不法滞在者物語なんかに比べると、お上品。
それぞれゲストというか、密航してきた外国人の話に3人が絡むという内容の連作短編集で、3人の事情や内面はそれほど描かれない。上っ面だけの描写になってしまっているので、時系列ではない掲載順がそれほどの効果を発揮しなかったと思う。
まぁ内容に対しては、いろんな要望や事情があったりするんだろうけど、この手のものは他の人がいくらでも書く。しかももっと密度が濃かったりスピード感があったり、救われなさがあったりするものを誰かが書く。五條瑛に対して求めているものは、こういう普通の物語ではないのですよ、少なくとも私は。とりあえず、美形を出せと。