津原 泰水『赤い堅琴』

赤い竪琴

赤い竪琴

セカチュー」も「いま、会いにゆきます」も、それから「解夏」も、どれひとつ読んでないけど、それでも言いたい。
この物語には敵わない(と思う)。
小川洋子さんの帯文「赤い堅琴が奏でるのは 死者たちの言葉。」これを読んでホラーだと勘違いした私を褒めてあげたい。恋愛小説だと気づいていたら、手にとることはなかった。大好きな津原泰水だとしても、きっと読むことはなかったと思う。津原泰水+死者=ホラー。バカ正直にそう思い込んだ私は偉かった。
「苦しみながら、それぞれに進もう」
この言葉を読むまで、涙が落ちそうになっていることに気がつかなかった。恋愛小説を読んで泣くなんて、自分が許せない。
でもあれですよ。やっぱり泰水ならではなんですよ。魂なんですよ。