秦 建日子『推理小説』

推理小説

推理小説

一見、なんの繋がりもなさそうな人々が相次いで殺された。事件を結ぶものは「アンフェアなのは、誰か」と書かれたオリジナルの栞。その後、警察と出版社に「推理小説・上巻」とかかれた原稿が届く。その中には、犯人しか知るはずのない事実と、次の殺人の予告が書かれていた。そして犯人から「事件を防ぎたければ、この小説の続きを3000万円で落札せよ」という要求が突きつけられた。


わからーん!
私としては「鳴り物入り」とか「スーパールーキー」とかそういうイメージで手に取ったのですよ。だって、すごい沢山のドラマ脚本書いてるんですよ、この人。メインライターではなかったみたいですけど『HERO』とか書いてる人なんですよ。キム様が検事役だったやつ。オレンジブルゾンのやつ。
だからどうだってな話なんですけど、売れっ子脚本家がわざわざ「推理小説」なんてタイトルのものを出版しようってんだから、そりゃ面白いものなんだろうなーって構えるじゃないですか。が、しかし。よく分からなかった。何がやりたいのか、狙いどころが分からなかった。面白いかどうかと聞かれても、うーん?としか答えられない。2時間ドラマなんかで、キャスト見ただけで犯人役の見当が付いちゃうように、登場人物を見て、ちょこっと読み始めただけで犯人の目星はついちゃいます。もちろん勘だけど。で、この人が犯人だとすると動機はこれだろうなぁと思ったらその通りだし。タイトルに釣られて買うと、そっち畑の人は投げたくなるかもしれません。
ビジュアル的な描写が多くて、その分会話が妙に説明っぽい。物語の上では必要のない設定も多く、やっぱり脚本の人だなぁと思った。映像ならば効果的に思える小道具や行動も、小説だと、伏線にもなんにもならないような設定は邪魔なだけだと思う。これは読み手の記憶力と想像力の問題もあるだろうけど。物語を創り出すという作業は同じでも、質は違うんだな。
そのうちドラマ化されるかもしれないなぁ。その時は見ますよ。多分。