『不適切にもほどがある!』

覚悟してた以上に「ついてこれるひとだけついてきてください」な画面作りによくこんな企画が通ったな!という驚きがまずはありましたが、昭和生まれですがわかるネタもわからないネタもあるなかで「地上波でおっぱいが見たい」というキヨシの演説が最も響いた初回でした。
むしろ今のほうがスマホでエロ動画見放題だろうに、「テレビをつけたらおっぱい出してる」というその状況というか環境というか、それが令和の中二にとっては「元の時代に戻りたくない」という理由になるのはわかるようでわからないようでわかるような。

そしてミュージカルな。ゲストとしてゴリゴリのミュージカル俳優がキャスティングされてることは知ってたけど、コンプライアンスやら多様性やらでがんじがらめに縛られている今の時代を「頑張れって言っちゃダメなの?」と「コンプライアンスも多様性もない世界」で生きる主人公に言わせるのではなくまさか歌わせるとは思わなかったし、しかもそれを「ミュージカル」仕立てで聞かせるとは思わなかった。
この先どんな「〇〇しちゃダメなの?」を言わせるにしても、「ダメ」なのが今の価値観であるわけで、そこをミュージカルという飛び道具(とあえて言う)で包む手法が結果的に吉と出るか凶とでるか。

それとは別の視点として、次回予告にWSSみたいなカッキー(鎌倉殿で実朝役を演じた柿澤勇人さん)がいたけどこの先も毎回ミュージカル役者つかってミュージカルやってくれるってんなら誰がどんな流れ(シチュエーション)でどんな歌詞を歌うことになるのか楽しみすぎる。

初回はとにかく「昭和」も「令和」もどっちも「おかしい」ことをデフォルメして世界観を固めてきたという印象ですが、まだ方向性がまったくわからん。
ていうか「昭和」の描写は「1986年」ではないよな。だって光GENJIがデビューしたのが1987年だもん。マッチ全盛期は5年ぐらい前だろう。
初回を見る限りでは「1986年」である必要は特にないと思うんだけど、であれば1980年代前半としてもいいだろうに「1986年」の設定にした理由をふくめ、この作品がどこに向かって進むのか、楽しみだけどちょっと怖い気もする。

しかしあれですね、これ主役が阿部サダヲじゃなかったら成立しないよね。
喫煙関係は「時代」を象徴するもののひとつだとして(さすがに授業中にタバコ吸ってる教師はいなかったけど)、店で人が頼んだビールを横から奪って飲んじゃうのは「時代」など関係なくこの主人公の「人間性」の問題だろうとわたしは思うんだけど、演じてるのが阿部サダヲでなかったらそういう描写のキツさ、もっというと酷さが際立ってしまってコメディにはならないんじゃないかな。やっぱりサダヲは唯一無二だわ(それで言うとミュージカル界きっての唯一無二の存在である中川晃教さんにゲスト出演していただきたい!サダヲとアッキーの共演めちゃめちゃ見たい!)。