長岡 弘樹『新・教場』

時系列としては「“千枚通し”十崎に襲われたあと、その身の安全保持を目的として警察学校の教官となり、初めての生徒を受け持った」風間です。つまりシリーズ1作目となる「教場」の前に位置する作品で、風間が「刑事指導官」から「警察学校の教官」になる、教官として生徒たちと向き合うと「決める」までが描かれます。

で、これまでと大きく違うのは1冊を通して風間の部下であり生徒として助教・尾凪の視点で描かれるところ。
教官としては“新人”でありながらも風間は風間であることを描くため、そして“教官”としてひよっこ学生「達」を指導し育てることを選ぶまでにはこの尾凪の存在が必要なんだけど、物語における役割云々はそれとして今となってはこの役を「誰が演じるか」という視点で読んでしまうのはもう仕方がないことだと諦めた。