長岡 弘樹『教場0 刑事指導官・風間公親』

教場0: 刑事指導官・風間公親

教場0: 刑事指導官・風間公親

時系列としてはこの作品→教場→教場2となるわけですが、相変わらず風間がキレッキレではあるものの警察学校という特殊環境下でないとただの警察(刑事)小説だなぁ・・・であるところを発表順と時系列が異なることがここで意味をなす。風間という警察官がどういう人間であるのか、全てだなんて言わないものの私なりに理解できているところがある。いきなりこれを読んだとしたら風間という刑事に魅力はさして感じなかっただろうけど、前2作があっての今作なのでこれがあっての教場であり教場2なのだ、という読み方ができるわけで、風間が隻眼である理由が読めるというだけで価値が生まれるのだ。
とはいえ風間道場という若手刑事教育システムと言っていいのだろうか、それが県警内にあるのはいいとして、マンツーマンで風間の指導を受ける(受けさせる)べくその道場生が選抜された理由も描かれないし、教材として都合のいい事件があたりまえに用意されてるのもなんだかなーってところはあったりするのでこの作品単体としては前述したようにただの警察小説(刑事が事件を解決する小説)でそれ以上のものはないです。でもこの風間対新人刑事の風間道場システムがあって、そのなかで風間にこういうことが起きて、そして警察官を目指す者達に“風間イズム”を注入すべく風間教室へと展開するという流れはその背後関係含めとても興味深く、風間公親という警察官の物語として読み応えがありました。