鬼田 隆治『対極』

対極

対極

第二回警察小説大賞受賞作です。
警察小説大賞なる賞の存在は知らなかったものの帯に「『震える牛』の相場英雄、『教場』の長岡弘樹が驚嘆した前代未聞のポリス×ピカレスク小説」とあるもんで即買い。
さらに「警察史上最凶のアンチヒーロー」とあるもんで、いやいや小説の中の警察結構アレよ?ヤバイの大勢いるわよ?それなのに「最凶」って言っちゃう??ってな感じの謎の上から目線で読み始めましたが、『悪魔』と呼ばれるSATの制圧班班長と『王子』と呼ばれるSITの係長が対立する話でした(笑)。

王子は妻子持ちで、非番の日に娘の希望でレストランでグラタンを食べるんだけど、それをたまたま見かけた悪魔が「嘘だろう、おい。特殊任務に就いてる男が、グラタン食うのかよ」と一人で騒いで(王子に直接言いはしない)通行人に不審な目で見られたりしてました(笑)。

連続テロ事件が発生し、王子(SIT)は捜査指揮官として捜査に奔走するも悪魔(SAT)は制圧が仕事なので捜査には関わらないという「対極」の関係がどう展開するのか、最終的にどこへ着地するのだろうかと思いながら読み進めたんだけど、首謀者によるクライマックスのテロ現場で取っ組み合いしながら「男でホワイトソース食ってるやつなんて見たことねーぞ」とか言っててどんだけ拘ってんだこの悪魔と(笑)。ホワイトソースに男も女もねーだろ(笑)。

で、これ帯にある「最凶」ってのは悪魔のほうだと思いきや、警察官としての正義を見失うも新たな正義を得た王子のほうでしたって話でいいのか?。そうでも解釈しないとなにひとつ解決していない(まあテロの目的が目的なんで小説とは言えどぼんやりとした結末にしかならないでしょうが)このぶった切りエンドの(自分なりの)落としどころが見つからない。