『麒麟がくる』第27回「宗久の約束」

織田信長に担がれた足利義昭が鎧を付けずに入京した(できた)のはお駒さんの存在があったからですかー。そうですかー。
織田家的には「十兵衛が今井宗久と話を付けてきた」という認識なのでしょうが、実際には(視聴者目線では)『たまたま駒が今井宗久と知り合いだったから』十兵衛が宗久と会うことができたとかもうさあ・・・。

帰蝶様を通して「明智十兵衛」の存在を知っていたというぐらいだから別に駒の口利きがなくとも宗久に会えただろうけど(むしろわざわざ売り物にしたくない丸薬で釣らずとも帰蝶様を通したほうが“伝手の太さ・確かさ”としてもいいよねえ?)そこはまあ丸薬の販売と絡めてってことでいいとして(宗久が丸薬を扱うことが今後なんらかの展開に繋がるんだろうから)、久々に再会した十兵衛にかました説教と同じようなことを宗久相手にまた言わせた挙句、十兵衛の後ろにちゃっかり座ってるとかどういうつもりなのよ・・・。
駒が十兵衛に言ったことと同じことだよねソレ?ってなことになるとしても、宗久を口説き落とすのは十兵衛がやらなきゃだめでしょうよ。駒の話を聞いた宗久に出された「鎧を付けずに上洛してくれ」という『条件』を飲むか飲まないかで茶を飲んだだけってマジでなにこれ。

そんで美濃に戻って十兵衛がなにしたかっつったら信長と家臣たちに宗久が出した条件を伝え、了承してもらうべく訴えたけど勝家以下家臣たちは激オコで、信長は「義昭様に聞いてみよう」としてその場を収め、義昭様は当然「それは名案だね!」と言うわけで、だからノー鎧で上洛すると信長は決めた(という態だけど元々十兵衛の言う通りにするつもりだった)わけだけど、この流れのなかで十兵衛がやったことって「お茶飲んだ」「駒の希望を聞いた宗久が出した条件を信長に伝えた」ってだけだからね。メッセンジャーでしかない。お茶を飲む所作はめっっっっっったくそ麗しかったけど!。

一応駒は「京で暮らす人々の代表」であるわけで、だから京に戦をするためにやってくるという十兵衛に「火を付けるな」と強い口調で頼むのはいいよ。いいってか必要なことだと思うよ。でもそこまででいいじゃん。駒=庶民の気持ちを知り、さらに太夫の生い立ちを知り京の内情を聞き、そのうえで明智十兵衛という人間を通して今井宗久と話をする、想いを伝える、それを視聴者に見せる、それが「大河ドラマの主人公」のなすべきことじゃないんですかね。まあこの流れこのタイミングで「信長ではなく将軍(義昭様)を選ぶ」とか言っちゃう主人公なんだけどさ。

つーかこれ。ここでハッキリさせようと、俺の家臣になるかならないかと問うて「心は決まっております。義昭様のお傍に付き従いたい」と十兵衛に言われた瞬間の信長の目がすごいのなんのって。
それまでの十兵衛の言動からして将軍を選ぶであろうことは予想していたとしても、それでも自分を選ぶかもしれないという期待もあったのかなと思うんだけど、自分を選ばなかった十兵衛に向ける目が一瞬で「他人」を見るソレになったもんだから「あ、今十兵衛は取返しのつかないことを言いました」感が凄まじかった。いずれは信長様をお支えしたいけど幕府を立て直すためにも今は将軍様のお傍にいたいというニュアンスではなく「最初から将軍一択です」ってな言い方だったもん。

しかしこの信長ならマジでこれが“最後のチャンス”でありここで「俺を選ばなかった」ことで十兵衛のことは「では以後、そのように扱う」と言った通り『そのように』扱いそうなもんだけど、この先十兵衛を家臣として迎え入れることになるんだよなぁ・・・。この瞬間のことを根に持っていて、家臣にした(手に入れた)ところで甚振り倒すってタイプでもないように思うし、結局のところ十兵衛のこと好きすぎじゃない?ってことになるのかな。それが捻じれよじれて本能寺に繋がるんだとしたら・・・ご、ごくりっ。


初対面から水と油じゃないけど絶対に「合わない」ことが明らかすぎる義昭と信長と、こちらもまた「人種が違う」であろうことがひしひしと伝わる光秀と秀吉は実に良いと思います。今後の展開に対しこの時点でもう心理的説得力充分だもの。