『妻、小学生になる。』第9話

ああ、貴恵はほんとうに万理華に身体を「返した」のか。
身体を返すべく自らの意志で「出る」という表現でいいのかわからないけど万理華に身体を明け渡し、と同時に万理華の魂が万理華の肉体に戻るって、以前万理華の魂が浮遊してたことを考えるとやっぱり「万理華の意志」がそこには反映されていない気がしてモヤモヤするし、年が明けた時に一瞬だけ戻った万理華は千嘉の抱擁を拒絶したのに今回は「消えてくれ」と言われたことなどなかったかのごとくママママ言ってんのはどういう心境の変化よ?という気がしなくはないけど、でもまあそこは言うても小学生だし、千嘉の気持ち・態度もあの時とは全然違うものになってることだし『もとに戻ってよかったね』でいいと思うんだけどさ、自分から「借りたものは返さなきゃならない」ってんで夫と娘と弟に対し“ああいう別れ方”をしたのは貴恵自身だろうに、ちゃんとお別れできてないだの会いたいよーだの、やっぱり新島家好きになれんわ。再びママが居なくなってしまった麻衣の言動とか成人した社会人だと思うとさすがにメンタル弱すぎじゃない?って感じだし(蓮司にはこの女絶対地雷だから深入りする前に別れたほうがいいよと言ってやりたくなったわ・・・)。

対してたけるくんの男前オブ男前な対応といったら!!。
まあ「万理華」と「貴恵」じゃ性格が全然違うわけで、それでも「告白は有効な」って顔か?お前が好きなのは白石の顔だけなのか??と問いたい気持ちはあるけどもw、たけるくんの言い方があまりにもさわやかカッコいいのでむしろ「どんな白石でも好きだ」という器のデカさに思えるもの。

ひまりちゃんだっけ?漫画友達との関係も元通りだし、万理華はもう新島家と“無関係”ってことでいいだろうに、万理華の身体から出て以前のように浮遊霊状態の貴恵のところに幽体離脱状態?の万理華がやってきて「それでいいの?」って、なんかもうここまでいくと(こんなことができちゃうと)さすがにアホらしくなっちゃうよなぁ。
貴恵が成仏しようと思ってるのにできない(成仏の仕方がわからない)らしいんで、まだ万理華と“繋がってる”からこんなことができるのだとしても、万理華の存在を便利に使いすぎててあんまりいい気持ちはしない。

再びゾンビ化&ニートに逆戻りするかと思ったんで圭介と友利が自分で考えて今度こそ現実を受け入れて前向きに生きようとしてるのはいい意味で予想外だったし(守屋さんに嫉妬する同期の男性社員にああいう関わり方をするとは思わなかった)、そんな父親の思いに心を動かされた麻衣も立ち直る兆しを見せたところなので、もう一度貴恵が圭介や麻衣に直接なにかをする・言うってのはするべきではないと思う。このまま黙って成仏すべきだと。
でも貴恵はそれが「イヤ」なわけだよね。
これまでは「誰かのため」にあれこれしてきた貴恵だけど、最後の最後は「貴恵自身の希望・欲望」はなんなのか、という話になるということか。

小説を書きあげてそれが(出雲ちゃんのルックス・属性込みだとしても)評価されたうえで生前の自分の人生も悪くはなかったと悟ったことで成仏したのかと思った出雲ちゃんに入ってた高校教師がまだ留まっていたのは“友利くんが心配だから”で、友利の原稿を読んだことで今度こそ満足して成仏できたってことでいいのかな?。
であれば貴恵もまた「満足」を得れば成仏することができるのでしょうが、そのためにまた小学生の身体を借りるのだとしたらそれはたとえ万理華が「いいよ」と言ってもよくないとわたしは思うので、そこいらへんなんとかうまいことまとめてくれるといいんだけど。