『ミステリと言う勿れ』episode.7

漫画の通りっちゃ通りなんだけど、この話は「映像」として見せてほしかった。
整くんと陸と香音人を直線上に並ばせることで、香音人が喋っているときは陸の身体が香音人のほうに向くことになり、それにより陸の口元が見えないようにするといった工夫はそれとして、火事現場で「陸さん」を見た時の整くんの視点、ああいうのをもっと見せてほしかった。
整くんが見ていた「一人二役」を岡山天音がどう演じるのか、実際にはどう見えていたのかってところを(見せてくれるのではないかと)楽しみにしていたので。

でも原作を読んだとき、香音人というキャラクターの印象は「燃やしてあげようか」で作られたというか、まさに炎の天使なシーン(画)の「美美美!!!」というインパクトがありすぎるのでそのイメージが強く、それは早乙女太一とは重ならないと思いながらの前半でしたが、後半を見て、炎の天使篇を見終えた今は「アリじゃん!!!」と言うね、言っちゃうね。

ドラマ版香音人は陸ちゃんに刺されてからが本番だった。
陸ちゃんのためにアップルパイを作ろうとしてたところに陸ちゃんが帰ってきちゃったんで慌ててリンゴを目に触れないように隠しながら「これは違う、違うんだ陸ちゃん」とそれまで見せていた“天使”なんかじゃない、普通に慌てふためく顔を見せ、そんな香音人さんを見て「捨てられるんだ」と思った陸にナイフを突き刺され、倒れ込んだものの必死で立ち上がり「ごめんね、助けてあげられなくて。苦しくさせて、痛くさせて、ごめん」と泣きながら最後の力を振り絞って陸ちゃんにそう伝えてドウッと倒れて死ぬという、この『生身の人間』感。
「天使」だと思ってた先輩が最後にみせた「生々しさ」。これが陸を狂わせてしまったのだとわたしは思う。この「生々しさ」は漫画のなかにはなかった。

だからこそ

「フツーの冷蔵庫のほうの冷凍庫に作りかけのリンゴのパイが入ってる 
アイスを出そうとするたびに、見るのが怖かった 
捨てることも 食べることもできなかった
だってそれがなくなったら 本当に 香音人さんが いなくなってしまうだろ・・・」

これを陸ちゃんに言わせてほしかったんだけどな。


しかしあれだな。この作品でもやっぱり早乙女太一は背負ってたな。
漫画では「あんたは同じじゃない。オレたちの気持ちはわからない」と救ったつもりの少年に言われてしまった香音人のショックって実はそんなにピンときてなかったんだけど、早乙女太一フィルターを通すとこの人「本気で」炎によって救われた自分と同じように子供たちは幸せになってると思ってたんだろうな・・・という狂気をそこに見ることができて、だからせめてこんなことになってしまう前にライカの感謝が香音人と陸に伝わっていればなにかが違っていたのではないかと思ってしまうのだけれど、伝わらないからこそ早乙女太一なのである。
背負わせて死なせたら早乙女太一はやはりバシっと嵌るよな。よってわたしは満足です。