『封刃師』第3話

はー面白い。30分があっという間だけど何度も何度も見直すので「見終わった」と一息つくまで半日はかかるw。
早乙女太一のアクションありきの作品というか、早乙女太一の殺陣を見せて魅せること「だけ」に注力しているのだと1.2話を見た時点では理解してましたが、なんだよなんだよストーリー的にも面白いじゃないか!そりゃそうだよね、だって中島かずきだもん!。

人間の「闇」から生まれた存在が「穢刃」であることは1話から説明されていて、その1話では上司からパワハラを受け続ける男が、2話では仕事(研究)を認めてもらえない准教授がそれぞれ穢刃となってしまった、穢刃にさせられてしまったわけで、穢刃の“素”となる「闇」とはつまりそういう「感情」なのだろうという理解というかイメージが出来たところで3話は「快楽殺人鬼」。
その男が穢刃となるところは1.2話と同様で、まず穢刃に斬り殺された死体が発見されるところから3話は始まり、続いてピザの出前を頼んだ主婦がデリバリー配達員として訪問した穢刃に殺されるんだけど、この時点で男の事情はわからない。見た感じ見ず知らずの人間、たまたまデリバリーを頼んだというだけの相手を殺しているみたいだけど、配達した先で心ない言葉をぶつけられ続けたとか、そんな事情を予想するじゃないですか。穢刃を生む闇とはそういうものだというイメージが固まりつつあるからね。

で、この作品の主人公である封刃師・駆は穢刃の刀を自らの武器である鞘で受け止めることでその者が穢刃となってしまった理由を、その者の「弱さ」を知り、それを受けとめたうえで封印するんだけど、このデリバリー男が駆に見せたものは「殺人」そのもの。人を斬り殺す様、殺した時の己の貌であった。
ってこの時点で「え!?」となるわけですよ。なにこれ。コイツ快楽殺人鬼なのかよ!?って。
そういうパターンもあるのかと、「人を殺したいという感情」はまさしく「穢れ」以外のナニモノでもないけど、そこにはなんの物語もなくあるのはただの欲望だけで、そこからも穢刃が生まれてしまうのかと驚かされるわけですよ。

で、これは現代の話であるわけで、死体があれば当然警察が呼ばれることになるんだけど、穢刃に殺された死体には特徴があり、その場合は「警察の手に負える事件ではない」から封刃師に任せるという暗黙の了解システムができていると、そのことも1話から説明されている。
でもどうやらそれは警察の(現場に出張る)人間全てに伝わっていることではないようで、今回登場した「エース」と呼ばれる刑事は事件を捜査するのが警察の仕事だと納得せず、穢刃の存在を知る記者・三條にコンタクトを取りいろいろあって穢刃の犯行現場に居合わせることになるんだけど、目の前で駆が穢刃を『封刃』する様、刀を持っていた殺人犯が霧散するのを目の当たりにしても、それでも「警察として」見逃すわけにはいかないと言うのです。
そんな刑事に駆の相棒である翔が法なんてものはせいぜい明治以降に作られたもので、「法律ができる前から闇はあるし、人を救うシステムもあった」と返すんだけど、この一言で『封刃師』という存在を説明してしまうところがまあ凄い。

でもそうは言われてもおそらくこの刑事は同僚刑事たちのように「仕方ない」と受け入れることはしないのだろう、性分からしてできないのだろうと、同じく穢刃と封刃師について調べることを諦められない三條と共に事件に首を突っ込むことになるんだろうな・・・と、半ばうんざりしながら思いかけたところで、なんとこの刑事が穢刃になってしまいチンピラを問答無用で斬り殺すという衝撃展開で4話に続くって、マジか・・・(絶句)。

今回の穢刃である玉城裕規さんと同じ並びで武田梨奈さんの名前も発表になっていたので武田さんも「穢刃要員」だろうとは思っていたのですが、思いっきりザ・正義の人であるがゆえに見てる間はそういう“情報”が一切頭をよぎることがなくって、物語に没入してたもんだからマジで驚いた・・・。


穢刃となってしまった刑事・弓美が三條と共に現場に居合わせた「いろいろあって」ってのは、弓美が三條に事情を聞いているその時にデリバリー配達員である被疑者の身元が判明し、さらに向かっている先が自分の家であり、デリバリーを頼んだ人間、つまり次に殺されるのは自分の妹だと判ったってんで二人で慌てて駆け付けたという経緯なんだけど(警察は管轄外の案件だとは理解していても、それでも一応捜査はしてるということか)(以前は後輩に「手柄のためじゃなく人のために仕事をするんだ」と教えていた吉原が今のように諦めモードで投げてる状態になってしまったのは「あいつらの案件」に出くわす機会が多くなり、諦めなければならないことを繰り返したからなんじゃないかな。五百津肇が巳前に「最近になって穢刃が頻出してる」と言及したことによって以前よりも「あいつらの案件」が増えていることは確かだろうから)、それはやっぱり黒い灰が見える三條が「穢刃に引き寄せられる」からなのかな?。
それ以前に弓美の妹が「よくデリバリーを頼んでる」という描写がちゃんとあるから妹のところに穢刃がやってくるという展開は必然とまでは言わないけど唐突ではないんだけど、その時弓美が三條と一緒に居なければ穢刃は別の家に向かっていたかもしれない?。
だとしたら穢刃パワーはわたしが思っているよりもはるかに凄いというか濃い、ということになりそうだけど。

弓美が穢刃になった理由は襲われた妹を抱きしめながら「助けられなくてごめん」と謝り続ける時に思い出していた「過去」にあるのだろうと予想するけど、それについては次回を待つとして、穢刃に斬られた妹の腕が血が出てる(焼けていない)普通の傷に見えたのはなんなんだろう。
弓美に弾き飛ばされた弾みで刃が腕に当たったことでできた傷のようだし、「斬る」つもりでなければ普通の刃と変わらないのか、それとも特殊体質だとか妹にもなにか理由があるのだろうか。であればそれは姉が穢刃になってしまった「過去」と関係があるのか否か。

なんにせよ、快楽殺人者の「闇」と使命感の強い警察官の「闇」を並列で描く中島かずき脚本は鬼だなと思うし、次は駆に「見知った人間」と戦わせるだなんて、早乙女太一に対する中島脚本マジ容赦ねえな。

ていうか駆の「俺の腕がああああ!」が加速度的に酷くなってるんだけど、ペース早くない?。3話でこれってどんだけ太一を苦しめたいのよかずきさん!(僕と握手!)。


今回はマンションの隙間という狭い空間での戦いであり、顔面を白く汚した玉ちゃん(この「画」を撮りたかった気持ちはわかる。玉ちゃんの顔を汚したい気持ちはよっくわかる)が黒短髪+黒衣と駆のソレと似通ったビジュアルだもんでどっちがどっちだかわからん瞬間があって、それがまさに「闇に生きる獣同士の戦い」って感じでワンパターンにならないアクション演出にウハウハ(コマ送り)が止まらないし、何といっても背中越しの強引な封刃が超絶カッコよ!!!!!!!!!!!でしたが、わたしは地下で鍛錬してるときの肩を小さく回して具合を確かめる仕草が好き。太一のこういうところほんっと好き。
そして鞘を受け取っての「ありがと」があいかわらず良い。
「私が作った鞘を駆が使ってくれて嬉しいよ」からタイトルが出る間の早乙女太一は永遠に見ていられる。これを高画質で残して何度でも拝める幸せたるや!(でも円盤もほしいです。過去回想を挟まないガチ殺陣バトルをリハーサルの様子とセットで全話分収録してくれるなら8諭吉出してもいい)。