『俺の家の話』第8話

はー痛い・・・。

伝統芸能(という男社会)の家に生まれ人として扱われずに育ち、妻となり母となった今母親の苦しみを身を持って味わっている舞も痛いし(寿限無が初恋だったとこのタイミングで言うとかさあ・・・)、宗家が実の父親であり自分は実の息子だと知り葛藤ののち寿一がケガしたことにより「父の介護」をするも「なんか違う」と言われてしまった寿限無も痛いし、『勘違いのスピード違反』な踊介もイタイし、野菜の名前は忘れてしまっても謡はしっかり覚えてると、人としては衰えても能楽師としては復帰できると信じることで保っていたものが謡を思い出せなかった瞬間プツリと切れてしまったのであろう寿三郎も痛いし、そんな父親をホームに残して背中を向ける寿一も痛い。

あっちもこっちも痛すぎて苦しい。

ていうかそうか、寿一は妖精なのか・・・。秀生の気持ちをいちいち確かめてしまうのも、さくらの求愛をするっと受け入れてしまうのも、ついでに危うく別れた妻の出産に立ち会うところだったことも、『自分』がないからなのかもしれないと思うとちょっと哀しい。舞や踊介や寿限無のように「自分の気持ち」を理由に出ていくことが続くとなおさら。
あれだけ賑やかだったのに、寿三郎と寿一2人だけの朝ごはんからの、泣きながらホームをあとにする息子を見送る父親は「仕方がない」だけに、そのどうしようもなさが底なしに切なかった。