『俺の家の話』最終話

最終回まで見終えて「感想」はいっぱいあるんだ。感じたことや思ったこと、考えさせられたことや受け取ったものはたっくさんある。
でもいざそれを感想として書こうと思うと言葉がみつからない。語りたいことはいっぱいいっぱいあるのに、人並みの語彙力と人並みの表現力しかもっていないわたしでは、どれだけ言ってもきっと足りない。
だから結局のところ、これしかないんだよね。


とてつもなく面白かった。


前回の感想でわたしは寿一に迫る死の予感に震えながらも、死なせる理由などないと思うと書きました。長瀬智也が演じる観山寿一という主人公が死ななければ描けないものがあるとは思えないとも書きました。

あったよ。思いっきりあったよね。

わたしはこのドラマを最終回のラスト5分まで「俺」の家の話だと思って見ていたのだけれど、俺の「家」の話だったんだ。
そうだよな。人間国宝である二十七世観山流宗家が親父なんだもん。『普通の家』じゃないんだもん。

その「国の宝」である観山寿三郎が倒れ、それは「観山流宗家」の一大事であるわけで、その一大事をなんとかすべく能の世界から逃げてプロレスラーになった(プロレスラーになれば親父に褒めてもらえると思ってた)長男が戻ってきたところから物語は始まり、その長男がたった1年かそこいら「家族のど真ん中」にいて、そして死んだことで「観山流宗家」の危機は回避され、これからも「深山流宗家」は続いていく(であろう)。それを支える家族によって。


「国の宝にはなれなかったけど、家の宝にはなれたな。お前は、観山家の人間家宝だよ」


特殊な家に生まれ、人間国宝の親父に褒めてもらいたかった男にとって、こんなにうれしい終わり方ってある?。
いままで褒めなかったのは、褒めたら終わっちゃうからってさあ、そりゃ寿一も成仏しちゃうってなもんでしょうよ。


と思いきや、プロレスラー・ブリザード寿の追悼試合に「だって出たいんだもん」と現れ、なぜか見えてる(親父と長州力をここで同列にするとかいろいろ台無しww)長州をぶっ倒してマスクを脱いだところで終わるという、結局能よりプロレスなんかい!!wなラストカットまで文句なしの最終回でした。


俳優・長瀬智也の最後の作品(になるかもしれない)という要素も込みで、「俺の家の話」はわたしのオールタイムベスト10入りです。
観山寿一と長瀬智也を重ねてしまうことによる大きな大きな存在がフッと消えてしまったような喪失感とともに、ずっと忘れないであろう作品がまたひとつできました。

そしていつ戻ってきてくれてもいいように、「俺の家の話」の隣はあけておきます。いつまででも待ってる。