『麒麟がくる』第40回「松永久秀の平蜘蛛」

吉田鋼太郎劇場のまえにまずはこれ。

柴田勝家さんざんな言われようじゃない?。
こんな扱いにするなら安藤政信をキャスティングする必要なかったんじゃない?。

柴田勝家のイメージ皆無どころか誰がどう見たって違いますよね?な顔面最強安藤政信をわざわざキャスティングしておいて「無能」「無能」ってなんなの!?ケンカ売ってんの!?とプンスカしてたら「今日は呑みます!」宣言した十兵衛ちゃんが号泣してて、松永様が松明でそこいらに火を放ち着物を開けることなく着物の上から腹を掻っ捌いて逝かれるまで体感10分でした。
まあ流れとして理解はできるし、平蜘蛛を託し託された十兵衛との会話で言うべきことは言っただろってことなのでしょうが、あっという間に「負け」を認めてるもんで見てるわたしの気持ちが盛り上がる前に死んじゃったという感じであった。

この松永久秀にはぜひとも爆死してほしかったってのはどうしたってあるけれど、それでも「魅せる」ところが、チープな画面であっても演技であり存在感でもって「惹きつける」のが吉田鋼太郎であるわけで、長谷川博己との相性の良さもあって最期の瞬間までわたし史上最も魅力的な松永久秀でした。おつかれさまでした。


で、松永様のすごいところ、というか、巧い脚本だなと唸らされたのは松永久秀の「罠」が平蜘蛛というアイテムを使って死後に発動するところ。

平蜘蛛は「自分そのもの」だと言っておけば十兵衛が信長にそれを渡さないであろうこと。
十兵衛が平蜘蛛を持っているということを信長が知るであろうこと。

それにより「十兵衛も信長を裏切る」ことになるだろうとわかったうえで平蜘蛛を託した松永久秀
久秀は十兵衛の中で信長に対する不信感が育ちつつあることを見て取っていたのだろう。

「これ(平蜘蛛)が信長様の手に落ちれば自分は楽になれる」とわかってるのに「なぜか言えなかった」理由を「松永久秀の罠だ!」と考え十兵衛は狂いかけた。

平蜘蛛を持つ者は「いかなる時も誇りを失わず、高い志と美しい心を持つ」という覚悟を持たなければならないと。
だから信長には絶対に渡さない。
だから十兵衛に託す。

松永久秀の想いを言い方悪いけど押し付けられたことで、自分の中にある織田信長に対する反発を、織田信長麒麟を呼ぶものではないことを、そして「十兵衛様が麒麟を呼ぶものであったなら」という亡き妻の言葉を改めて自覚してしまったのであろう十兵衛が向かう先は本能寺しかないんだなと、そこに向けてついに走り出してしまった感が凄まじく、つまりやっぱり「松永久秀の罠」なんだよね。その罠に十兵衛は嵌ってしまったんだよ。

(またもや唸りながら泣いてる理由が帰蝶様の言うように松永が言うこと聞かずに死んだからなのか松永の所有する名品が焼けてしまったからなのかわたしにも判断がつかなかった)信長にとっても、帰蝶に去られ、その帰蝶に「今後は十兵衛に相談すればいい」と言われた矢先にその十兵衛に「嘘」をつかれてしまったわけで、まさか「松永久秀の平蜘蛛」がこういう使われ方をするとはまったく予想も想像もできなかったので、帰蝶がいなくなってしまったら「困りましたな」「どちらが?」のやりとり以降はゾワゾワしっぱなしでした。