『麒麟がくる』第31回「逃げよ信長」

徳川家康と思い出話をし、織田信長と密談し、織田信長に「逃げる」と決意させるために土下座をし、鼻水ダラダラの豊臣秀吉の昔ばなし&しんがりを務めさせてくれという嘆願を聞き、しんがり仲間として豊臣秀吉と絆を育み、酒盛りしてる織田家家臣を一喝し、誰も会ってはもらえなかった織田信長の寝室に入れてもらえてナイスなアドバイスをキメてみせるとか、今回の十兵衛ってば主役っぽい!!。

案の定ものの数秒で金ヶ崎の戦いは終わってしまい(逃げるところは描かれず)(ここで朽木を説得する活躍描写を入れないとなると久秀なんのためにいるん?ってことにならない?)、左馬之助に「戦をしないためにはどうすればいいかを考えてきたけどそれは甘い考えだった。戦をなくすために今戦をしなければならないことがわかった」とか今頃!?十兵衛お前今何歳だよ!?今頃になってようやっとその境地にたどり着いたのか!?と突っ込みつつも銃を構えるスナイパー十兵衛の凛々しさにきゃっひいいいいいいいいいっん☆となったし!。

まあ十兵衛がどんな立場で戦に参加してんのかよくわからないから(だから左馬之助経由で届いた浅井が裏切ったことが書かれてる手紙が誰から十兵衛に届いたのものなの?ってことになる)信長の「儂は逃げる」のあとを託されたからといってテキパキと勝家たちに指示出してんのも、十兵衛の指示を大人しく聞く織田家家臣たちも、藤吉郎が十兵衛に土下座懇願してんのも、ぜんぶ「なんで十兵衛が仕切ってんの?」ではあったけど、ようやっと主人公が舞台の真ん中に立った感があって、ここまで見続けてきてよかったわあ!。

ところでこの状況下でそんなに長々とどうでもいい話を聞いてやるなよ十兵衛!ってのはさておき、ここまでの役作りからして妹の話とか虫の話はしんがりという大役を務めわかりやすい評価を得たいという欲望のために真面目で融通の利かない明智様を動かすための作り話だと思ったし、しんがりを務めたといっても誰も信じてくれないと泣いて訴えたのも実はほんとうに隠れてて頃合いを見て出てきたんだろうと、まさしくこれこそが「猿芝居」だと解釈したんだけど、だとしたらこれまで「ここヒントですよ~」というわかりやすい演出や布石を打ってきた作劇であることだし“そういうこと”だと判る目線とか口元のカットを入れてくるんじゃないかとも思うわけで、となるとこれはほんとうの話として信じていいのかなぁ。信じられない気持ちが強いけど。そのうち光秀が妹の話を振ったらキョトンとしたあと「・・・ああ!そんな話もしましたな(ヤベー忘れてた)」なんつってシレっと流すか「まさかあの話を本当だと信じてたんですか?明智殿はいいお方ですなー」とか薄笑いで言いそうな気しかしないもん。

あと藤吉郎に対して「しんがり務めたとかホラ吹いてんじゃねーぞw」とバカにしたのが悪い意味で目立ってる安藤政信の勝家になっちゃってるのもわたしとしてはすこぶる不満です。史実云々ではなく小説なんかから造り上げたイメージだけど、わたしのなかでの柴田勝家は「皆様は生きて信長様を支えねばならぬ方々だけど自分が死んでも誰も困らない。だから自分の役目はしんがりを務めて死ぬことである」と言い切った猿の心意気に打たれ自らの手勢を貸し与えて「頼んだぞ」と言う男なんだもん。さらに言えば浅井に裏切られた信長のものすごい唸り声を聞いて周囲は「なんだあの声は!?」となるなかで誰よりも真っ先に「御屋形様!?」とそれが信長の叫びだと気づくのが勝家なんだよー!。
・・・まあ、安藤政信的には「ホラ吹いてんじゃねーぞw」のほうがハマってるんだけどさ、だからやっぱり安藤政信柴田勝家じゃないよねって話なのよね。

そしてピンチを脱してよかったよかったと酒を呑んでるところへ乗り込んできて一方的に「誰のおかげでその酒が呑めてると思ってんだ!」とか怒鳴りつける十兵衛には、ほんとかどうかわからない藤吉郎とは違いガチでしんがりを務めたからこそ「誰のおかげで」と言わずにはいられなかったってのはすごくわかるんだけど、それでも言い方!おまえの「そういうとこだぞ」と言いたい。