下村 敦史『同姓同名』

同姓同名

同姓同名

6歳の少女が惨殺される事件が起き、16歳の少年が逮捕される。少年法により氏名は伏せられるが、週刊誌が実名で報道。それにより、犯人と同じ「大山正紀」たちの人生は狂ってしまった。7年後、大山正紀の出所に伴い再び「大山正紀」が話題となり、大山正紀たちは「大山正紀同姓同名被害者の会」として集うことに。

帯にデカデカと書かれているように登場人物(ほぼほぼ)全員“大山正紀”。加害者も被害者もみんな大山正紀。
名前では区別がつかないから「〇〇の大山正紀」という表記で描かれはしますが、視点となる人物はそのなかの限られた大山正紀なので、そこに注目・注意していればそこまで混乱することはありませんでした。
でもあまりにも大山正紀が多いので読み流してしまったものが重要な要素でしたということが二度ほどあって、これが大山正紀でなければ読み解けたのにクソクソッ!となったので私は良いお客さんであろう。

イジメだとかネット社会に巣食う悪意だとか、そっちのテーマだけだと胸糞悪いで終わってしまうところですが、「同性同名」であることを今の自分の『言い訳』にせず、そのイメージを書き換えるべく生きようとなったのには私自身にも置き換えられるいい結末だなと思った直後にラストが・・・なまじいい気分にさせられたもんで結果胸糞度倍なんですけど・・・。