西澤 保彦『夢魔の牢獄』

夢魔の牢獄

夢魔の牢獄

  • 作者:西澤 保彦
  • 発売日: 2020/08/19
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)


主人公は眠りにつくと過去にタイムリープし自分以外の人間に憑依しその時に見ていたものやってたことを追体験することができる(が誰に憑依するかを選ぶことはできない)という特殊能力持ちで、とある写真をキッカケに22年前へとタイムリープするところから物語は始まります。22年前、憧れを抱いていた教師の義理の息子が殺されたその日の真相を明らかにすべく主人公が何度もタイムリープを繰り返すのですが、やはりLGBTがくんずほぐれつするエロであった(笑)。LGBTという言葉が広まるはるか前からずっとくんずほぐれつしてるんで、西澤さんの場合は時代性とか関係なく筋金入りのそれです、念のため。

憑依の対象を自分の意志では決められないし、憑依しつつも意識としては自分を保った状態なので発言や行為を見聞きできるものの憑依されてる当人が何を考えているのかはわからないという縛りはあれど「未解決の殺人事件の関係者に次々と憑依し事件の真相に迫る」話・・・ではあるんだけど、明らかになるのは女性教師を中心とする淫らな性的関係と同性愛で、最終的に殺人事件のほうも驚きの真相が明らかになりはするんだけどその頃には矢印がもはやどこを向いているのかわからないほど入り組んだ愛憎渦巻く相関図と化しているもんだから驚く精力が残ってないという・・・。ゆえに残るのはエロのみ。22年前どころか終わってみれば死屍累々だけど、元はといえばエロゴコロ。いつもながら大好きです。