西澤 保彦『パラレル・フィクショナル』

続柄・家系図としての人間関係がごちゃごちゃしてる(から何度も相関図を確認しなくちゃならない)→めんどくさいわっ!!
予知夢を見てる予知夢を見てる→めんどくさいわっ!!!!!
と何度も本を床に投げつけそうになりながら(ツッコミの意味でね。時間と金を返せという意味の「壁本」とは違いますので念のため)読み進めたら最後の最後で背筋がヒュンっとなりました。
まさに「それまで見ていた景色が全然別のものに見えた」瞬間でした。

意地の悪い言い方をすると、まるで“ノルマ”のようにLGBT要素を取り入れた作品が多くなった昨今ですが、西澤さんは本物です。
そこまでじわじわと、そしてしっかりと土台を固めたうえで物語の「真相」としてグッサリ「それ」をぶっ刺してくるあたりまさしく年季が違う。鮮やかでお見事。